ちょっとした油断から今俺は病に伏せっている。
何大した事じゃない。つい薄着のまま冷房をかけてそのまま寝てしまったのだ。
所謂夏風邪って奴だろう。夏風邪引くのは馬鹿だけだというが本当に馬鹿なことをしたもんだぜ・・・
そんな訳で折角の夏休みだというのにこうしてベッドで寝転んでいるわけだ。
幸いなのはいつもの不思議探索がしばらく中止になっている事だ。
もし行われているのならアイツの事だ「這ってでも出てきなさい!」とか言う事だろう。
と呑気に語っているが実際結構辛い。
熱は程ほどにあるし、鼻水も出る。早く何とかしたいものだね・・・とその時チャイムが鳴った。
今家には俺一人だ。俺は少しふらつく脚で玄関へと向かった。
そこには……見間違う事の無い「白衣の天使」の衣装を着た長門がいた。
「風邪をひいていると聞きお見舞いに来た。部屋に上がる許可を」淡々と告げる口調。
その格好は何なんだ?とか突っ込みたい所はたくさん有ったが衆目の目に晒すわけにはいかない。
俺は部屋へと案内する。
「あなたはゆっくり寝ていればいい。今栄養食を作ってくる」長門はそう告げると台所へと向かった。
一人になり考えてみるがはっきり言ってその格好は反則だぞ。長門。
ただでさえ白い肌を際立てるかのような白衣。看護帽も良く似合っている。
そして細く美しい脚線美が……って何を考えて居るんだ!俺!
折角看病しに着てくれたのにそんな目で見ちゃ失礼だろう……
程なくして長門は戻ってきた。どうやらおじやを作ってくれたようだ。
長門の手作り料理を食べれるなんて俺は幸せ者かもしれないな……
俺は匙を手に取ろうとした……すると長門は先に匙をとりおじやを掬い……
ふーふー。「あーん」……。ひょっとしてこれは……。
「食べて」
あの、途轍もなく恥ずかしいんですが……。
幸い誰も居ない事だ俺はこの幸せを噛み締める事にした。
長門の特製おじやはとても美味しかった。
何というか体中から体力が沸きあがってくる感じだ。
一体何を入れたんだ?と聞いたところ、「……それは禁則事項」と言われてしまった。
まぁとんでもない物は入ってないだろうから安心だ。
その後も濡れタオルで体を拭いてくれたりと様々な甘いシュチエーションがあったのだが割愛させていただく。
俺と長門との記憶の中だけに留めて置きたいのでね。
両親が帰ってくる前に長門は帰った。夜になるとすっかり熱も下がり健康体になった俺がいた。
本当にあのおじやには何が入っていたんだろうね?
それと今度あったらちゃんと言わなきゃな。「ありがとう、長門」ってな。
2007年7月7日土曜日
長編14
「助けて欲しい」そう書かれたメールが届いた。
相手はあろう事か長門だ。長門が助けて欲しい事など想像がつかない。
相当困った自体なんだろうが何度も長門には助けられている。断る理由なんてないさ。
それに俺たちが力をあわせればどんな問題でも解決できる気がする。
今までだってそうだった。今回もそうだと思ったのだが・・・・・・。
もうすっかり慣れた道のりを飛ばし長門のマンションへ向かう。
肌を通り抜ける夜の風が涼しい。マンションに着き長門の部屋へと向かう。
「俺だ。入るぞ?」確認を取る。「入って」返答を得た俺は部屋に足を入れる。
テーブルに向かい合わせに座る。長門が淹れてくれたお茶を飲む。
俺がお茶を飲んだのを確認したかのように長門は話を切り出した。
「単刀直入に言う。私は記憶を失った」
・・・・・・?は?俺は思わず口を開けてしまった。
「分らないのも無理はない。今の私の記憶に有るのは『長門有希』という名前だけ。これからどうすればいいか困っている」
一体どういうことだ?記憶喪失?長門に限ってそんな・・・・・・。
そうだ、名前しか覚えて無いというならどうして俺を呼んだんだ?
「電話の着信、送信履歴を調べた。その結果あなたの名前が一番多かった。あなたを私は信頼していたという証拠」
参ったね。確かに長門とはよく連絡をしていた。信頼関係・・・・・・。
無かったと言えば嘘になる。それにしても・・・・・・。
「記憶がないって言うが本当に何も覚えてないのか?
今からちょっと確認してみるがいいか?」お前はナントカ思念体に作られたんだよな?「・・・・・・」
お前はSOS団とかいう変な団体の一員だよな?「・・・・・・」
他にもSOS団が関わった事件の事を聞いてみたが全滅だった。何も覚えていない。
どうやら事実らしい。尤も長門は嘘なんてつかないだろうが・・・・・・。
「幸い知識などは失っていない。学校生活は明日からも送れる」そうか・・・・・。
それはいいとしても。SOS団に顔を出すのは不味いな。ハルヒが何をしでかすか分ったもんじゃない。取りあえず明日古泉辺りにでも相談する事にするか。
明日は授業が終わったら家に帰ってじっとしてればいいことを伝えると長門は静かに頷いた。
その顔からは最近になって読み取れるようになった感情が消えていた。
本当に忘れてしまったのか・・・・・・?その日は取りあえず解散となった。
明日から一体どうなっちまうんだ?俺はハルヒに長門が活動に出られない理由を考えながら次の日を迎える事になった。
翌日。日課となったハイキングコースも慣れたものだ。
クラスに着き自分の席に座ると早速ハルヒに絡まれた。「キョン! 悪いんだけどSOS団の活動は私暫く出られないから!私がいなくてもしっかりやりなさいよ!」
そりゃ好都合だ。長門が出れない言い訳を考える手間が省けたぜ。
という事は古泉、朝比奈さん、俺の三人か・・・・・・。何かいいアイディアが見つかればいいんだが。
放課後の部室。朝比奈さんの生着替えを目撃しないようにノック。
中から「ど~ぞ~」と声が返ってくる。俺は安心感を覚え部室へ踏み入る。
中には既に二人が揃っていた。早速古泉に事情を説明してみるか。
「ふむ、長門さんが記憶喪失ですか。困ったものですね」ああ本当だぜ。
名前以外覚えていないとか相当なものだぜ。「何が原因なのか分りませんが即急に記憶を取り戻させるべきですね」
お前の機関の力で何とかならないのか?
「機関といっても万能じゃありません。普通の人間の記憶喪失なら兎も角長門さんの場合は・・・・・・」
お手上げかよ・・・・・・。「取りあえず涼宮さんが暫く来れない内になんとかしなければなりませんね」同感だな。取りあえず今日も長門に会いに行くか・・・・・・。
再び長門の部屋に入った俺は古泉と話したが無駄だった事を告げてみた。
「・・・・・・古泉って誰?」ああ、そうか今の長門には分らないか。軽く説明してやる事にする。
ニヤケ面はいけ好かないが頼りになる奴さ。
説明し終わった後、長門は突然俺の腕にしがみ付いて来た。「ど、どうしたんだ長門!」
「私は怖い・・・・・・これ以上忘れてしまいそうなのが怖い・・・・・・貴方は最後まで側に居てくれる?」
半分涙目になって黒真珠のように輝く瞳で俺を見つめている。
「大丈夫だ。俺は何があっても側にいる。それにこれ以上忘れると決まったわけじゃない。きっと記憶は戻る。だから泣かないでくれ」そう言うと安心したのか俺から少し離れた。
静かになった部屋にチャイムの音が響いた。
?一体誰だ?俺は覗いて見た。そこに居たのは・・・・・・。
「長門」と「俺」だった。何が起きている?
というか誰だ?俺達はここに居る。じゃあ目の前の「俺達」は?
頭の思考をフル回転させていると声を発した。
「あー。ひょっとしたら見当がつくかも知れんが・・・・・・俺たちは未来からやってきた。伝えなきゃならん事がある」なるほど・・・・・そういうことか。
俺は長門に事情を説明し「二人」を部屋に上げた。
「ズバリ、長門の事で困ってるんだろ?」ああ、その通りなんだ。
「その原因なんだがな・・・・・・長門説明してやってくれ」「長門」が口を開く。
「過去の私が記憶を失ったのは『エラー』が原因。その原因は・・・・・・貴方」
何だって?俺が原因?俺が何をした?
「貴方は忘れている。私と最後に交わした会話を」忘れている?俺が?何を・・・・・・?
そもそも記憶を失う前の長門と最後に会話したのは何時だ?
頭の中に靄がかかってるかのように思い出せない。
「貴方にはそれを思い出してもらうため私達はやってきた」
「という訳なんだ。よく分からないかもしれないが事実なんだ」
ちょっと質問なんだがそっちの「長門」は記憶はあるんだよな?
なら、ここで俺が何かをすれば記憶は戻るんだな?「・・・・・・戻る。その方法は・・・・・・」
さて、俺はその方法を実行する為に数日前に飛ばされたわけだ。
まさか過去に来る事になるとは思わなかったが・・・・・・。
未来の長門は時空遡行も出来るようになったんだな。
にしても俺のあの一言が原因だったんだな・・・・・・。たった一言で随分苦しめちまったんだな。
元に戻ったら謝るぜ。俺は時間を計り電話をする。
「長門か?意味が分らないかもしれないが聞いてくれ。この後俺から電話があって俺はお前に俺の願望を言うはずだ。それは忘れてしまって良い。抱え込む必要はないんだ。未来から来た俺の伝言だ。分ってくれたか?」
「分った・・・・・・」と呟いたのを確認すると俺は安心する。別れを告げると俺は元の日に戻った。
そこには記憶が戻った・・・・・・。というより記憶を失ってない長門がいた。
こうして俺が引き金となった事件は幕を閉じた。
俺が何を言ったかって?「もう一度消失の時の様な笑顔が見たい」って言ってしまったのさ。
それが処理できないエラーになったそうだ。詳しい事は分らない。
俺はありのままの長門を愛する事にする。それだけだ。
相手はあろう事か長門だ。長門が助けて欲しい事など想像がつかない。
相当困った自体なんだろうが何度も長門には助けられている。断る理由なんてないさ。
それに俺たちが力をあわせればどんな問題でも解決できる気がする。
今までだってそうだった。今回もそうだと思ったのだが・・・・・・。
もうすっかり慣れた道のりを飛ばし長門のマンションへ向かう。
肌を通り抜ける夜の風が涼しい。マンションに着き長門の部屋へと向かう。
「俺だ。入るぞ?」確認を取る。「入って」返答を得た俺は部屋に足を入れる。
テーブルに向かい合わせに座る。長門が淹れてくれたお茶を飲む。
俺がお茶を飲んだのを確認したかのように長門は話を切り出した。
「単刀直入に言う。私は記憶を失った」
・・・・・・?は?俺は思わず口を開けてしまった。
「分らないのも無理はない。今の私の記憶に有るのは『長門有希』という名前だけ。これからどうすればいいか困っている」
一体どういうことだ?記憶喪失?長門に限ってそんな・・・・・・。
そうだ、名前しか覚えて無いというならどうして俺を呼んだんだ?
「電話の着信、送信履歴を調べた。その結果あなたの名前が一番多かった。あなたを私は信頼していたという証拠」
参ったね。確かに長門とはよく連絡をしていた。信頼関係・・・・・・。
無かったと言えば嘘になる。それにしても・・・・・・。
「記憶がないって言うが本当に何も覚えてないのか?
今からちょっと確認してみるがいいか?」お前はナントカ思念体に作られたんだよな?「・・・・・・」
お前はSOS団とかいう変な団体の一員だよな?「・・・・・・」
他にもSOS団が関わった事件の事を聞いてみたが全滅だった。何も覚えていない。
どうやら事実らしい。尤も長門は嘘なんてつかないだろうが・・・・・・。
「幸い知識などは失っていない。学校生活は明日からも送れる」そうか・・・・・。
それはいいとしても。SOS団に顔を出すのは不味いな。ハルヒが何をしでかすか分ったもんじゃない。取りあえず明日古泉辺りにでも相談する事にするか。
明日は授業が終わったら家に帰ってじっとしてればいいことを伝えると長門は静かに頷いた。
その顔からは最近になって読み取れるようになった感情が消えていた。
本当に忘れてしまったのか・・・・・・?その日は取りあえず解散となった。
明日から一体どうなっちまうんだ?俺はハルヒに長門が活動に出られない理由を考えながら次の日を迎える事になった。
翌日。日課となったハイキングコースも慣れたものだ。
クラスに着き自分の席に座ると早速ハルヒに絡まれた。「キョン! 悪いんだけどSOS団の活動は私暫く出られないから!私がいなくてもしっかりやりなさいよ!」
そりゃ好都合だ。長門が出れない言い訳を考える手間が省けたぜ。
という事は古泉、朝比奈さん、俺の三人か・・・・・・。何かいいアイディアが見つかればいいんだが。
放課後の部室。朝比奈さんの生着替えを目撃しないようにノック。
中から「ど~ぞ~」と声が返ってくる。俺は安心感を覚え部室へ踏み入る。
中には既に二人が揃っていた。早速古泉に事情を説明してみるか。
「ふむ、長門さんが記憶喪失ですか。困ったものですね」ああ本当だぜ。
名前以外覚えていないとか相当なものだぜ。「何が原因なのか分りませんが即急に記憶を取り戻させるべきですね」
お前の機関の力で何とかならないのか?
「機関といっても万能じゃありません。普通の人間の記憶喪失なら兎も角長門さんの場合は・・・・・・」
お手上げかよ・・・・・・。「取りあえず涼宮さんが暫く来れない内になんとかしなければなりませんね」同感だな。取りあえず今日も長門に会いに行くか・・・・・・。
再び長門の部屋に入った俺は古泉と話したが無駄だった事を告げてみた。
「・・・・・・古泉って誰?」ああ、そうか今の長門には分らないか。軽く説明してやる事にする。
ニヤケ面はいけ好かないが頼りになる奴さ。
説明し終わった後、長門は突然俺の腕にしがみ付いて来た。「ど、どうしたんだ長門!」
「私は怖い・・・・・・これ以上忘れてしまいそうなのが怖い・・・・・・貴方は最後まで側に居てくれる?」
半分涙目になって黒真珠のように輝く瞳で俺を見つめている。
「大丈夫だ。俺は何があっても側にいる。それにこれ以上忘れると決まったわけじゃない。きっと記憶は戻る。だから泣かないでくれ」そう言うと安心したのか俺から少し離れた。
静かになった部屋にチャイムの音が響いた。
?一体誰だ?俺は覗いて見た。そこに居たのは・・・・・・。
「長門」と「俺」だった。何が起きている?
というか誰だ?俺達はここに居る。じゃあ目の前の「俺達」は?
頭の思考をフル回転させていると声を発した。
「あー。ひょっとしたら見当がつくかも知れんが・・・・・・俺たちは未来からやってきた。伝えなきゃならん事がある」なるほど・・・・・そういうことか。
俺は長門に事情を説明し「二人」を部屋に上げた。
「ズバリ、長門の事で困ってるんだろ?」ああ、その通りなんだ。
「その原因なんだがな・・・・・・長門説明してやってくれ」「長門」が口を開く。
「過去の私が記憶を失ったのは『エラー』が原因。その原因は・・・・・・貴方」
何だって?俺が原因?俺が何をした?
「貴方は忘れている。私と最後に交わした会話を」忘れている?俺が?何を・・・・・・?
そもそも記憶を失う前の長門と最後に会話したのは何時だ?
頭の中に靄がかかってるかのように思い出せない。
「貴方にはそれを思い出してもらうため私達はやってきた」
「という訳なんだ。よく分からないかもしれないが事実なんだ」
ちょっと質問なんだがそっちの「長門」は記憶はあるんだよな?
なら、ここで俺が何かをすれば記憶は戻るんだな?「・・・・・・戻る。その方法は・・・・・・」
さて、俺はその方法を実行する為に数日前に飛ばされたわけだ。
まさか過去に来る事になるとは思わなかったが・・・・・・。
未来の長門は時空遡行も出来るようになったんだな。
にしても俺のあの一言が原因だったんだな・・・・・・。たった一言で随分苦しめちまったんだな。
元に戻ったら謝るぜ。俺は時間を計り電話をする。
「長門か?意味が分らないかもしれないが聞いてくれ。この後俺から電話があって俺はお前に俺の願望を言うはずだ。それは忘れてしまって良い。抱え込む必要はないんだ。未来から来た俺の伝言だ。分ってくれたか?」
「分った・・・・・・」と呟いたのを確認すると俺は安心する。別れを告げると俺は元の日に戻った。
そこには記憶が戻った・・・・・・。というより記憶を失ってない長門がいた。
こうして俺が引き金となった事件は幕を閉じた。
俺が何を言ったかって?「もう一度消失の時の様な笑顔が見たい」って言ってしまったのさ。
それが処理できないエラーになったそうだ。詳しい事は分らない。
俺はありのままの長門を愛する事にする。それだけだ。
2007年6月20日水曜日
長編13
徹夜
今日は体調が悪い……。
普段なら睡眠時に体のメンテナンスを行うはずが 昨日は読書に夢中になり徹夜をしてしまった。
……迂闊。 休むという選択肢もあるが休むと彼にいらぬ心配をかける。
頑張って登校する事にする。
学校前の坂道。 彼が辛いといっていた気持ちが今日は分る。 必死に長い坂を登る。
もうちょっと……あと少し…… 次の瞬間 目の前が真っ白になった。
どうやら私は倒れてしまったらしい。 私は保健室のベッドに横たわっていた。
「お、気づいたか。よかったぜ」 私は自分の感覚情報を疑った。 確かに彼が居た。
「まだ頭すっきりしないのか?ボーッとしてるが?」 彼が心配している。何か答えなくては。
「大丈夫、心配しないで。もう平気」 私は上半身を起き上がらせる。
「びっくりしたぜ。坂道で声をかけようとしたら行き成り倒れるから……」
やはり私は倒れてしまったよう。
「慌てて保健室まで担ぎ込んだんだ。中々目を覚まさないもんだから心配したぞ。何かあったのか?」 ちょっと恥ずかしいが正直に話す事にする。 彼に嘘はつきたくない。
「なるほどな。長門らしいというか……いやいい意味でな。 でも出来ればこれからはもっと気をつけてくれよ?俺凄く心配したんだからな」 私は頷く。
そしてやっと気づいた太陽が傾きかけてる事に。
「もしかして授業……」 「あー。長門が心配な余り忘れてたぜ……まぁ気にするな」
とても嬉しい。私が起きるまで側にいてくれた。 それだけで幸せ。
「どうした?嬉しそうだが」 顔に出てしまったよう。迂闊。
「……何でもない」 彼は心配だからという理由で家まで付いてきてくれた。
たまには体調の悪いのもいいかもしれない。 そう思えた。
今日は体調が悪い……。
普段なら睡眠時に体のメンテナンスを行うはずが 昨日は読書に夢中になり徹夜をしてしまった。
……迂闊。 休むという選択肢もあるが休むと彼にいらぬ心配をかける。
頑張って登校する事にする。
学校前の坂道。 彼が辛いといっていた気持ちが今日は分る。 必死に長い坂を登る。
もうちょっと……あと少し…… 次の瞬間 目の前が真っ白になった。
どうやら私は倒れてしまったらしい。 私は保健室のベッドに横たわっていた。
「お、気づいたか。よかったぜ」 私は自分の感覚情報を疑った。 確かに彼が居た。
「まだ頭すっきりしないのか?ボーッとしてるが?」 彼が心配している。何か答えなくては。
「大丈夫、心配しないで。もう平気」 私は上半身を起き上がらせる。
「びっくりしたぜ。坂道で声をかけようとしたら行き成り倒れるから……」
やはり私は倒れてしまったよう。
「慌てて保健室まで担ぎ込んだんだ。中々目を覚まさないもんだから心配したぞ。何かあったのか?」 ちょっと恥ずかしいが正直に話す事にする。 彼に嘘はつきたくない。
「なるほどな。長門らしいというか……いやいい意味でな。 でも出来ればこれからはもっと気をつけてくれよ?俺凄く心配したんだからな」 私は頷く。
そしてやっと気づいた太陽が傾きかけてる事に。
「もしかして授業……」 「あー。長門が心配な余り忘れてたぜ……まぁ気にするな」
とても嬉しい。私が起きるまで側にいてくれた。 それだけで幸せ。
「どうした?嬉しそうだが」 顔に出てしまったよう。迂闊。
「……何でもない」 彼は心配だからという理由で家まで付いてきてくれた。
たまには体調の悪いのもいいかもしれない。 そう思えた。
2007年5月9日水曜日
長編12
勿忘草の想い
あの事件から一年。私の中のエラーが原因で引き起こされてしまった事件……
解決後彼は言ってくれた。「お前が居なくなったら何としてでも取り戻しにいく」
私はとても嬉しかった……迷惑をかけてしまった私を。彼は必要としてくれた。
あれからの一年様々な事があった。私が居なくなることは無く比較的穏やかに過ぎた日々。
これからもそんな日々が続いていく……そう思っていた。あの指令が来るまでは……
今日も私は部室に一番で入る。最早これは当たり前と化した光景。
私は彼を待っていた。告げなくてはいけない事がある……
暫く時が流れ、響くノックの音。無言で答える私。これも日常。
入ってきた彼に視線を移す。「長門だけか……」
私は指定席から立ち上がると彼に手渡した。「……貸す」少し驚いている彼。
「……忘れないで」そう告げて私は元の場所に戻った。
これでいい。これでいいの……そう言い聞かせて。
その日は特に変った事も無く活動が終わった。しいて言うなら長門から本を借りた事ぐらいか。
どこか様子がおかしかった気がするが。
特にする事も無かった夜。俺は本を少しずつ読み始めた。
……。ある程度読み進めたとき本から栞が落ちた。俺はそれを拾うと気付いた。
「勿忘草か」その栞には勿忘草が印されていた。
イメージ的に長門にはぴったりな花だ。あいつもこうゆうのに興味があったんだな。
そんな事を思うと俺は今日の読書を終え眠りに付いた……。
その夜私は最後となる任務を遂行しようとしていた。
内容は彼の記憶からの私の消去。指令を受け取った時は何故?という想いが過ぎった。
回避はできないのか?拒否はできないのか?
私の想いは思念体には届かなかった・・・。
私に出来た事は彼にせめて忘れないで欲しいという想いを告げるだけ。
……。楽しかった思い出が胸を過ぎる。
私はこみ上げる想いを押し込め……最後の情報操作をした……
あくる日通学路で彼を見つける。胸が痛い……この想いは何なんだろう……
「おはよう。キョン」後ろから彼を呼ぶ声。彼が振り向きこちらを見る。
彼は私には気付かず……「国木田か。珍しいな」彼は友人と合流しまた通学路を進む。
私は……
日の暮れた放課後、私は部室へと向かう。恐らくもう誰も居ないであろうその部屋へと。
部室の前に来た時ドアから明かりが漏れている事に気付く。
私は一瞬彼が居る光景を思い浮かべ勢い良くドアを開けた。
・・・・・・。分っていた。彼が居るはずは無いと。さっきのはノイズ……
部室に居たのは 喜緑江美里だった。「もしかして彼かと思いました?」
「スキャンすれば誰が居るかは分る。貴方に用は無い」
そう告げ指定席へと向かおうとした時……腕をつかまれ抱きしめられた。
「ここなら人目は無いし好きにすればいいのよ」その言葉で私は堪えていたものを抑えきれなくなった。彼への想い。本当に告げたかった私の想い。
私は泣いていた。こんなに心が痛いなんて……
こんなに彼のことが……好きだったなんて……
あの事件から一年。私の中のエラーが原因で引き起こされてしまった事件……
解決後彼は言ってくれた。「お前が居なくなったら何としてでも取り戻しにいく」
私はとても嬉しかった……迷惑をかけてしまった私を。彼は必要としてくれた。
あれからの一年様々な事があった。私が居なくなることは無く比較的穏やかに過ぎた日々。
これからもそんな日々が続いていく……そう思っていた。あの指令が来るまでは……
今日も私は部室に一番で入る。最早これは当たり前と化した光景。
私は彼を待っていた。告げなくてはいけない事がある……
暫く時が流れ、響くノックの音。無言で答える私。これも日常。
入ってきた彼に視線を移す。「長門だけか……」
私は指定席から立ち上がると彼に手渡した。「……貸す」少し驚いている彼。
「……忘れないで」そう告げて私は元の場所に戻った。
これでいい。これでいいの……そう言い聞かせて。
その日は特に変った事も無く活動が終わった。しいて言うなら長門から本を借りた事ぐらいか。
どこか様子がおかしかった気がするが。
特にする事も無かった夜。俺は本を少しずつ読み始めた。
……。ある程度読み進めたとき本から栞が落ちた。俺はそれを拾うと気付いた。
「勿忘草か」その栞には勿忘草が印されていた。
イメージ的に長門にはぴったりな花だ。あいつもこうゆうのに興味があったんだな。
そんな事を思うと俺は今日の読書を終え眠りに付いた……。
その夜私は最後となる任務を遂行しようとしていた。
内容は彼の記憶からの私の消去。指令を受け取った時は何故?という想いが過ぎった。
回避はできないのか?拒否はできないのか?
私の想いは思念体には届かなかった・・・。
私に出来た事は彼にせめて忘れないで欲しいという想いを告げるだけ。
……。楽しかった思い出が胸を過ぎる。
私はこみ上げる想いを押し込め……最後の情報操作をした……
あくる日通学路で彼を見つける。胸が痛い……この想いは何なんだろう……
「おはよう。キョン」後ろから彼を呼ぶ声。彼が振り向きこちらを見る。
彼は私には気付かず……「国木田か。珍しいな」彼は友人と合流しまた通学路を進む。
私は……
日の暮れた放課後、私は部室へと向かう。恐らくもう誰も居ないであろうその部屋へと。
部室の前に来た時ドアから明かりが漏れている事に気付く。
私は一瞬彼が居る光景を思い浮かべ勢い良くドアを開けた。
・・・・・・。分っていた。彼が居るはずは無いと。さっきのはノイズ……
部室に居たのは 喜緑江美里だった。「もしかして彼かと思いました?」
「スキャンすれば誰が居るかは分る。貴方に用は無い」
そう告げ指定席へと向かおうとした時……腕をつかまれ抱きしめられた。
「ここなら人目は無いし好きにすればいいのよ」その言葉で私は堪えていたものを抑えきれなくなった。彼への想い。本当に告げたかった私の想い。
私は泣いていた。こんなに心が痛いなんて……
こんなに彼のことが……好きだったなんて……
2007年5月3日木曜日
長編11
「ルービックキューブ」
あーでもない。こーでもない。俺は脳細胞をフル動員して考えていた。
何をかって?大したもんじゃない一時期流行った「ルービックキューブ」って奴だ。
昨日の夜引き出しの奥から転がり出てきて懐かしさの余り始めたんだが一向に完成しない。
今日も一番乗りで部室に来て弄ってる訳だ。
こういうのも頭のよさが関係するのかと軽く凹まされていると・・・。
背後に気配・・・。長門か。驚かせるなよ・・・。
長門は興味深そうに俺の手の中の立方体を見つめていた。俺は簡単にルールを教えてやった。「・・・。理解。極めて原始的だが理論も含まれている」
そう言って俺の手からキューブを奪うと・・・。
暫く考えた様子だったがやがて俺の手を動かす速度の三倍速ぐらいで回し始めた。
呆気に取られていると・・・。「・・・。完成・・・。少し手こずったが許容範囲」
涼しげに俺に差し出す。インチキとかしてませんよね・・・?
「・・・。そんなことをしなくても十分に出来る。貴方にもやり方を教える」
そう言って俺は手ほどきされながら解き方を教わった。長門の手って柔らかいんだな・・・。
理解するまでは結構かかったが長門は詳しく優しく教えてくれた。
教師とか向いてるんじゃないか?って思ったぐらいだ。
やっと自力で解けるようになった頃にはもう夕方だった。
「助かったぜ。ありがとうな長門」
「・・・別にいい・・・」どこか嬉しそうに見えたのは俺の気のせいだったのかな。
部室を二人で出ると・・・。鬼の顔をした団長が居た。
「随分とお楽しみだったようね・・・」天国の後に地獄あり。俺はそれを噛み締めた。
あーでもない。こーでもない。俺は脳細胞をフル動員して考えていた。
何をかって?大したもんじゃない一時期流行った「ルービックキューブ」って奴だ。
昨日の夜引き出しの奥から転がり出てきて懐かしさの余り始めたんだが一向に完成しない。
今日も一番乗りで部室に来て弄ってる訳だ。
こういうのも頭のよさが関係するのかと軽く凹まされていると・・・。
背後に気配・・・。長門か。驚かせるなよ・・・。
長門は興味深そうに俺の手の中の立方体を見つめていた。俺は簡単にルールを教えてやった。「・・・。理解。極めて原始的だが理論も含まれている」
そう言って俺の手からキューブを奪うと・・・。
暫く考えた様子だったがやがて俺の手を動かす速度の三倍速ぐらいで回し始めた。
呆気に取られていると・・・。「・・・。完成・・・。少し手こずったが許容範囲」
涼しげに俺に差し出す。インチキとかしてませんよね・・・?
「・・・。そんなことをしなくても十分に出来る。貴方にもやり方を教える」
そう言って俺は手ほどきされながら解き方を教わった。長門の手って柔らかいんだな・・・。
理解するまでは結構かかったが長門は詳しく優しく教えてくれた。
教師とか向いてるんじゃないか?って思ったぐらいだ。
やっと自力で解けるようになった頃にはもう夕方だった。
「助かったぜ。ありがとうな長門」
「・・・別にいい・・・」どこか嬉しそうに見えたのは俺の気のせいだったのかな。
部室を二人で出ると・・・。鬼の顔をした団長が居た。
「随分とお楽しみだったようね・・・」天国の後に地獄あり。俺はそれを噛み締めた。
2007年4月22日日曜日
長編10
「彼女のわがまま」
「明日は皆でお花見ハイキングよ!」
頭の中に年中満開の桜が咲いているのではないか?
と疑いたくなる女。涼宮ハルヒは叫んだ。コイツが言い出したら最後必ず従わなければならない。
まぁ季節がら悪くも無いだろう・・・。それに朝比奈さんのお弁当を食べられるやもしれん。
それならば多少の苦労はしてやるさ・・・。こうして週末に山登り+お花見が実行に移された・・・。
駅前に集合時間の十五分前には着いたはずなのだがやはり俺が最下位であり、
最寄の駅までの切符代を支払う羽目になった。いい加減財布がきついんだがな・・・。
電車に揺られる事数駅。ここからは歩きだな。
・・・・・・。目的の山。登山口は二つあった。
「ここでくじ引きよ! 二つに分かれて昇りましょう! 行きと帰りは同じグループだけど反対の道から帰ることで山の風景を全て楽しむのよ!」
よく分からない理論だが反論しても聞く耳を持つ奴じゃない。
俺は心から願った。ハルヒとペアにだけはなりたくない。
古泉?言うまでも無いだろう?
結果。俺は長門とペアになった。
長門のほうを見ると・・・。「・・・・・・」いつもの三転リーダーだ。
山登りする時でも制服なんだな。ハルヒは何処か不満げな表情だったが俺たちは二手に分かれ山を登りだした・・・。
山の中。決して険しくは無い。登校時のハイキングコースで慣れたせいか思ったよりも楽だ。
長門は俺の少し後ろを歩いて着いてきている。
コイツも疲れては居ないようだ。景色はというと所々に咲いている桜が美しい。
頂上はもっときれいなんだろうな・・・。そんな事を考えていると・・・。
後ろで人の倒れる音。振り返ると長門が倒れていた。
「長門! 大丈夫か!」慌てて駆け寄る。
「・・・。迂闊。足を滑らせた・・・」
「足大丈夫か?歩けるのか?」
「・・・。足を捻ってしまった様・・・。貴方の力を借りたい。許可を」
・・・・・・。真っ直ぐに俺を見つめる漆黒の瞳・・・。
そんな目で見られたら断れないじゃないか・・・。
「具体的にはどうすればいいんだ? 背中は荷物があるぞ?」
長門は少し恥ずかしそうに言った。「・・・。俗に言うお姫様抱っこ・・・」
その発想は無かった。というかそんな事をしていいのか。
嫌では・・・ないんだろうな。俺は覚悟を決め長門を抱いた。
荷物の分の重みを含めてもそんなに重くは無い小柄な体・・・。
抱き心地はいい・・・。
・・・って何を考えているんだ!取りあえず長門を抱きしめ残りの山道を登った・・・。
想像はつくだろうが俺たちが頂上に着いた時にはハルヒ達は既に到着しており。
長門を抱いて登場した俺はハルヒに尋問された。
事情を説明したが何分長門が俺から降りると平気で歩いていたので弁解の余地なく殴られた。
長門さん足駄目だったんじゃないですか・・・?
その後は昼食タイムとなり絶景を眺めながら美味しい弁当に舌鼓を打った。
帰り際・・・。古泉がこう言った。「貴方の分の荷物をもって帰ってあげますよ。その方が長門さんも喜ぶでしょう」意味不明なことを言って俺から荷物を受け取ると不機嫌なままのハルヒ達と帰って行った。「長門。 歩けるんなら俺たちも帰ろ・・・」
長門は俺の目を見てこう言いやがった。
「帰りは・・・おんぶで・・・」
やれやれ・・・。古泉が言ったのはこういう事か・・・。
俺はわがままなお姫様に付き合うことにした。決して嫌じゃないしな。
「明日は皆でお花見ハイキングよ!」
頭の中に年中満開の桜が咲いているのではないか?
と疑いたくなる女。涼宮ハルヒは叫んだ。コイツが言い出したら最後必ず従わなければならない。
まぁ季節がら悪くも無いだろう・・・。それに朝比奈さんのお弁当を食べられるやもしれん。
それならば多少の苦労はしてやるさ・・・。こうして週末に山登り+お花見が実行に移された・・・。
駅前に集合時間の十五分前には着いたはずなのだがやはり俺が最下位であり、
最寄の駅までの切符代を支払う羽目になった。いい加減財布がきついんだがな・・・。
電車に揺られる事数駅。ここからは歩きだな。
・・・・・・。目的の山。登山口は二つあった。
「ここでくじ引きよ! 二つに分かれて昇りましょう! 行きと帰りは同じグループだけど反対の道から帰ることで山の風景を全て楽しむのよ!」
よく分からない理論だが反論しても聞く耳を持つ奴じゃない。
俺は心から願った。ハルヒとペアにだけはなりたくない。
古泉?言うまでも無いだろう?
結果。俺は長門とペアになった。
長門のほうを見ると・・・。「・・・・・・」いつもの三転リーダーだ。
山登りする時でも制服なんだな。ハルヒは何処か不満げな表情だったが俺たちは二手に分かれ山を登りだした・・・。
山の中。決して険しくは無い。登校時のハイキングコースで慣れたせいか思ったよりも楽だ。
長門は俺の少し後ろを歩いて着いてきている。
コイツも疲れては居ないようだ。景色はというと所々に咲いている桜が美しい。
頂上はもっときれいなんだろうな・・・。そんな事を考えていると・・・。
後ろで人の倒れる音。振り返ると長門が倒れていた。
「長門! 大丈夫か!」慌てて駆け寄る。
「・・・。迂闊。足を滑らせた・・・」
「足大丈夫か?歩けるのか?」
「・・・。足を捻ってしまった様・・・。貴方の力を借りたい。許可を」
・・・・・・。真っ直ぐに俺を見つめる漆黒の瞳・・・。
そんな目で見られたら断れないじゃないか・・・。
「具体的にはどうすればいいんだ? 背中は荷物があるぞ?」
長門は少し恥ずかしそうに言った。「・・・。俗に言うお姫様抱っこ・・・」
その発想は無かった。というかそんな事をしていいのか。
嫌では・・・ないんだろうな。俺は覚悟を決め長門を抱いた。
荷物の分の重みを含めてもそんなに重くは無い小柄な体・・・。
抱き心地はいい・・・。
・・・って何を考えているんだ!取りあえず長門を抱きしめ残りの山道を登った・・・。
想像はつくだろうが俺たちが頂上に着いた時にはハルヒ達は既に到着しており。
長門を抱いて登場した俺はハルヒに尋問された。
事情を説明したが何分長門が俺から降りると平気で歩いていたので弁解の余地なく殴られた。
長門さん足駄目だったんじゃないですか・・・?
その後は昼食タイムとなり絶景を眺めながら美味しい弁当に舌鼓を打った。
帰り際・・・。古泉がこう言った。「貴方の分の荷物をもって帰ってあげますよ。その方が長門さんも喜ぶでしょう」意味不明なことを言って俺から荷物を受け取ると不機嫌なままのハルヒ達と帰って行った。「長門。 歩けるんなら俺たちも帰ろ・・・」
長門は俺の目を見てこう言いやがった。
「帰りは・・・おんぶで・・・」
やれやれ・・・。古泉が言ったのはこういう事か・・・。
俺はわがままなお姫様に付き合うことにした。決して嫌じゃないしな。
長編9
「静止した闇の中で」
長門が夜に行き成り「会いたい」って電話してきた。
断る理由なんて無い。しかし夜に会いたい何ていわれると・・・。
おっと。妄想が走ってしまった。いかん。いかん。
取りあえず長門のマンションへと向かう。もう慣れたもので直に708号室の前だ。
「長門、入るぞー」「・・・入って」お言葉に甘えるとする。
玄関先で俺を向かえたのはいつもと同じ制服姿の長門だ。
ある意味落ち着く。コイツが下手に着飾ったりされた日には俺の理性がどうにかなってしまう。
取りあえず部屋に上がった俺。「用件は何だ? 何か事件か?」
万が一という事もある。予め心の準備は必要である。
「・・・。用件というほどの事ではない。貴方とゆっくりと話してみたい」
・・・・・・。つい良い方向へ考えてしまう・・・。ゆっくり話したい・・・。まるで恋人同士じゃないか。
悪く無いかもな・・・。って何を考えてるんだ。長門がそんな事を考えてるはず無いじゃないか・・・。
話したい。そう言った割には話題が無いのか長門からは話しかけてこない。
仕方なく俺から当たり障りの無い話題を振る。と、その時。部屋に暗闇が訪れた。
「停電か・・・」急な事に驚く俺。だが本当に驚くのはこれからだった・・・。
まず突然手に触れる優しい感触・・・。長門の手だ。小さくてだが確かな温もりを感じる・・・。
俺の手をぎゅっと握ってくる。ひょっとして怖いのだろうか?
「長門?」次には俺の肩に寄りかかってくる・・・。肩に感じる重み・・・。そしてほのかないい香り・・・
。だんだん理性がおかしくなってくる・・・。
「長門? 怖いのか? だんだん俺に近づいてきているようだが・・・」
だんだん暗闇に慣れ薄っすらと見えてきた。
・・・・・・。目の前に目を閉じた長門の顔があった。
ひょっとしてこれは・・・。「キスして」ですか?
いや、まてこんな暗闇に乗じて勢いだけでそんな事をしては・・・。
それより何で長門はさっきから黙っているんだ?俺に何をして欲しいんだ・・・。
俺と長門は暫く見つめ合い・・・(長門は目を閉じているが)
どのくらいそうしていただろうか。暗い部屋で密着。
目の前で目を瞑り待ち続け一言も話さない長門。
俺の精神はもう限界に近かった・・・。
突然目に差し込む光・・・。思わず目を閉じてしまった。・・・・・。
明るさになれ目を開けると・・・。長門は元の位置に戻っていた。
・・・・・・。何処か怒っているように見えるのは気のせいだろうか?
時計を見るともういい時間だった。「悪い、長門。 そろそろ帰らないと・・・。今度またゆっくり話そう」「・・・。そう。気をつけて」
俺は長門に見送られマンションを後にした・・・。
結果。
作戦は失敗に終わった。二人きりの状況を作り出し意図的に停電を起こす。
その状況で徐々に近づき目の前に迫る。それでも彼は何もしなかった。
何も出来なかったのかは分らない。
結論。
彼は思ったより意気地なし・・・。
ちょっと残念。今度はもっと上手くやってみよう。
長門が夜に行き成り「会いたい」って電話してきた。
断る理由なんて無い。しかし夜に会いたい何ていわれると・・・。
おっと。妄想が走ってしまった。いかん。いかん。
取りあえず長門のマンションへと向かう。もう慣れたもので直に708号室の前だ。
「長門、入るぞー」「・・・入って」お言葉に甘えるとする。
玄関先で俺を向かえたのはいつもと同じ制服姿の長門だ。
ある意味落ち着く。コイツが下手に着飾ったりされた日には俺の理性がどうにかなってしまう。
取りあえず部屋に上がった俺。「用件は何だ? 何か事件か?」
万が一という事もある。予め心の準備は必要である。
「・・・。用件というほどの事ではない。貴方とゆっくりと話してみたい」
・・・・・・。つい良い方向へ考えてしまう・・・。ゆっくり話したい・・・。まるで恋人同士じゃないか。
悪く無いかもな・・・。って何を考えてるんだ。長門がそんな事を考えてるはず無いじゃないか・・・。
話したい。そう言った割には話題が無いのか長門からは話しかけてこない。
仕方なく俺から当たり障りの無い話題を振る。と、その時。部屋に暗闇が訪れた。
「停電か・・・」急な事に驚く俺。だが本当に驚くのはこれからだった・・・。
まず突然手に触れる優しい感触・・・。長門の手だ。小さくてだが確かな温もりを感じる・・・。
俺の手をぎゅっと握ってくる。ひょっとして怖いのだろうか?
「長門?」次には俺の肩に寄りかかってくる・・・。肩に感じる重み・・・。そしてほのかないい香り・・・
。だんだん理性がおかしくなってくる・・・。
「長門? 怖いのか? だんだん俺に近づいてきているようだが・・・」
だんだん暗闇に慣れ薄っすらと見えてきた。
・・・・・・。目の前に目を閉じた長門の顔があった。
ひょっとしてこれは・・・。「キスして」ですか?
いや、まてこんな暗闇に乗じて勢いだけでそんな事をしては・・・。
それより何で長門はさっきから黙っているんだ?俺に何をして欲しいんだ・・・。
俺と長門は暫く見つめ合い・・・(長門は目を閉じているが)
どのくらいそうしていただろうか。暗い部屋で密着。
目の前で目を瞑り待ち続け一言も話さない長門。
俺の精神はもう限界に近かった・・・。
突然目に差し込む光・・・。思わず目を閉じてしまった。・・・・・。
明るさになれ目を開けると・・・。長門は元の位置に戻っていた。
・・・・・・。何処か怒っているように見えるのは気のせいだろうか?
時計を見るともういい時間だった。「悪い、長門。 そろそろ帰らないと・・・。今度またゆっくり話そう」「・・・。そう。気をつけて」
俺は長門に見送られマンションを後にした・・・。
結果。
作戦は失敗に終わった。二人きりの状況を作り出し意図的に停電を起こす。
その状況で徐々に近づき目の前に迫る。それでも彼は何もしなかった。
何も出来なかったのかは分らない。
結論。
彼は思ったより意気地なし・・・。
ちょっと残念。今度はもっと上手くやってみよう。
2007年4月20日金曜日
短編(3)二本セット
短編 「俺の大切な・・・」
長門には制服が良く似合っていると思う。
というより制服を着ている事が多いからそのイメージが強いんだろうな。
長門は無表情で言ったっけかな「最初から私しか居ない」
でもな、これからは俺達、いや俺がついてる。
だからお前はもう一人じゃないんだ・・・。
お前は感情を表す事とかしないけど悲しい時は悲しいって言えばいいんだぜ。
俺が側にいてやるからな。感情を表す事は悪い事なんかじゃない。
お前が人間らしくなるために必要な事なんだ・・・。
お前が一人で見ていた夕焼け。これからは俺と一緒に見よう。
「嬉しい時どうすればいいか分らない」嬉しい時は笑えばいいんだぜ。
無表情のお前なりに「笑う」事だって出来るはずさ。
お前はまだ感情を現す事が出来ないだけなんだ。
きっといつか人間らしくなれる時が来るさ。
だから長門。俺と一緒に陽だまりで過ごそう。
俺はずっと側にいるから・・・
短編 「三年前のあの日より」
訪れる出逢いの時・・・。
観察対象涼宮ハルヒとの接触は明日。明日からはより正確な情報を観測する必要がある。
なのに私の中で一つのエラー・・・。彼の存在が気になっている。
彼が鍵だから?三年前から出逢う事は分っていた。
そして待機モードでありながら彼のことを忘れることは無かった。
・・・・・・。何故?どうして彼が気になるの?
このエラーは積み重なりあるとき爆発してしまう・・・。
今の私には分らない。明日から涼宮ハルヒ。そして彼と。
共に過ごす事でその何かが分るのだろうか。
気付いてしまった事は三年前から彼にまた会いたかったこと・・・。
彼は何も知らず私に会うのだろう。私は彼に気に入られるだろうか?
・・・・・・。またエラー・・・。
・・・・・・。大丈夫。思考回路に問題なし。
明日に備え今日は休もう。答えはきっと未来に・・・。
長門には制服が良く似合っていると思う。
というより制服を着ている事が多いからそのイメージが強いんだろうな。
長門は無表情で言ったっけかな「最初から私しか居ない」
でもな、これからは俺達、いや俺がついてる。
だからお前はもう一人じゃないんだ・・・。
お前は感情を表す事とかしないけど悲しい時は悲しいって言えばいいんだぜ。
俺が側にいてやるからな。感情を表す事は悪い事なんかじゃない。
お前が人間らしくなるために必要な事なんだ・・・。
お前が一人で見ていた夕焼け。これからは俺と一緒に見よう。
「嬉しい時どうすればいいか分らない」嬉しい時は笑えばいいんだぜ。
無表情のお前なりに「笑う」事だって出来るはずさ。
お前はまだ感情を現す事が出来ないだけなんだ。
きっといつか人間らしくなれる時が来るさ。
だから長門。俺と一緒に陽だまりで過ごそう。
俺はずっと側にいるから・・・
短編 「三年前のあの日より」
訪れる出逢いの時・・・。
観察対象涼宮ハルヒとの接触は明日。明日からはより正確な情報を観測する必要がある。
なのに私の中で一つのエラー・・・。彼の存在が気になっている。
彼が鍵だから?三年前から出逢う事は分っていた。
そして待機モードでありながら彼のことを忘れることは無かった。
・・・・・・。何故?どうして彼が気になるの?
このエラーは積み重なりあるとき爆発してしまう・・・。
今の私には分らない。明日から涼宮ハルヒ。そして彼と。
共に過ごす事でその何かが分るのだろうか。
気付いてしまった事は三年前から彼にまた会いたかったこと・・・。
彼は何も知らず私に会うのだろう。私は彼に気に入られるだろうか?
・・・・・・。またエラー・・・。
・・・・・・。大丈夫。思考回路に問題なし。
明日に備え今日は休もう。答えはきっと未来に・・・。
2007年4月19日木曜日
長編8
「Snow Smile」
ある寒い日の事だ。俺は決して口数は多く無い文学系少女・・・。
正体は有機生命体云々なのだがそんな事はもう忘れそうなくらい普通の女の子。
長門と冬の道を歩いていた。
・・・・・・。沈黙。だがそれが心地よく感じるのは何故だろうな?
ハルヒや朝比奈さんと居る時には感じられない気持ちが長門と居る時にはある。
ふと気付くと長門が手を寒そうにしていた。手袋もしていなかった。
俺は少し恥ずかしい事を思いついたが思い切って口にしてみた。
「長門。手寒いだろ? 俺の右ポケットに入れていいぞ」
長門は・・・。僅かばかり頷くと俺のコートの右ポケットにそっと手を入れてきた。
長門の小さな手と俺の手がポケットの中で触れ合う。胸の鼓動が伝わってくる・・・。
そんな気にさえなる。俺はふと思った。
見渡す限りの白銀の世界。そこを二人で並んで歩き二人だけの足跡を印す。
とてもロマンティックな光景だと思う・・・。だが生憎雪は積もっていない。
その時長門が初めて口を開いた。
「・・・。雪が積もらなくてもいい・・・。今こうして貴方と居られるだけで私は幸せ・・・」
ああ。そうだな。夢物語なんて叶わなくても今こうしていられる事。
それだけで幸せだよな。
「貴方に出会えて本当に良かった・・・」ああ。俺も同感だぜ。
長門に会えた事で俺は本当の幸せってのを知ったんだからな。
俺たちはお互いの絆を確かめ合いながら雪の無い道を歩いていた・・・。
ある寒い日の事だ。俺は決して口数は多く無い文学系少女・・・。
正体は有機生命体云々なのだがそんな事はもう忘れそうなくらい普通の女の子。
長門と冬の道を歩いていた。
・・・・・・。沈黙。だがそれが心地よく感じるのは何故だろうな?
ハルヒや朝比奈さんと居る時には感じられない気持ちが長門と居る時にはある。
ふと気付くと長門が手を寒そうにしていた。手袋もしていなかった。
俺は少し恥ずかしい事を思いついたが思い切って口にしてみた。
「長門。手寒いだろ? 俺の右ポケットに入れていいぞ」
長門は・・・。僅かばかり頷くと俺のコートの右ポケットにそっと手を入れてきた。
長門の小さな手と俺の手がポケットの中で触れ合う。胸の鼓動が伝わってくる・・・。
そんな気にさえなる。俺はふと思った。
見渡す限りの白銀の世界。そこを二人で並んで歩き二人だけの足跡を印す。
とてもロマンティックな光景だと思う・・・。だが生憎雪は積もっていない。
その時長門が初めて口を開いた。
「・・・。雪が積もらなくてもいい・・・。今こうして貴方と居られるだけで私は幸せ・・・」
ああ。そうだな。夢物語なんて叶わなくても今こうしていられる事。
それだけで幸せだよな。
「貴方に出会えて本当に良かった・・・」ああ。俺も同感だぜ。
長門に会えた事で俺は本当の幸せってのを知ったんだからな。
俺たちはお互いの絆を確かめ合いながら雪の無い道を歩いていた・・・。
2007年4月18日水曜日
消失短編(1)
花言葉
あの時。彼は迷った挙句エンターキーを押さなかった。
彼は私を選んでくれた・・・?それは私の思い込みだろうか。
彼はあの後入部届けを書いてくれた。私はとても嬉しかった・・・。
彼と同じ時間を過ごす事が出来る。幸せだった。今のままでも私は十分。
でももう一歩を踏み出してみたい・・・。そうだ。プレゼントを贈ってみよう。
それに私の想いを込めて・・・。次の日の部室。
私は彼に送る花を用意して待っていた。
・・・・・・。
彼がやってきた。思わず胸が高鳴る。
「これ・・・。少し早いけどクリスマスの・・・」何とか勇気を出し声を絞り出す。
「コスモスか・・・。この時期に珍しいな・・・。ありがとう大事にする」
渡す事が出来た・・・。それだけで十分。
コスモスに込められた私の想いにいつか気付いてくれたらいいな・・・。
今はまだ・・・。このままでも。
コスモスの花言葉・・・。それは・・・「愛情」
あの時。彼は迷った挙句エンターキーを押さなかった。
彼は私を選んでくれた・・・?それは私の思い込みだろうか。
彼はあの後入部届けを書いてくれた。私はとても嬉しかった・・・。
彼と同じ時間を過ごす事が出来る。幸せだった。今のままでも私は十分。
でももう一歩を踏み出してみたい・・・。そうだ。プレゼントを贈ってみよう。
それに私の想いを込めて・・・。次の日の部室。
私は彼に送る花を用意して待っていた。
・・・・・・。
彼がやってきた。思わず胸が高鳴る。
「これ・・・。少し早いけどクリスマスの・・・」何とか勇気を出し声を絞り出す。
「コスモスか・・・。この時期に珍しいな・・・。ありがとう大事にする」
渡す事が出来た・・・。それだけで十分。
コスモスに込められた私の想いにいつか気付いてくれたらいいな・・・。
今はまだ・・・。このままでも。
コスモスの花言葉・・・。それは・・・「愛情」
2007年4月17日火曜日
長編7
「天体観測」
母親に言われ夜だというのに部屋の掃除をしている俺が居る。
押入れの奥などを弄くり回しているとなんでこんなもん取って置いてあるんだ?
という様なものが出て来る出て来る。掃除も時には大切だなと思っているとそれは見つかった。
望遠鏡。いつだったか理科の授業で使ったのだろうか?思わず取り出してみる。
殆ど使って無いせいか保存状態はいいようだ。これならまだ使えるな・・・。
そう思って星空を見上げてみる。・・・・・・。空には満天の星々が広がっていた。
天体観測でもしてみるか・・・。不思議とそんな気分になった。
こんなロマンティックな事一人でするのは勿体無いな・・・。
俺は少なからず気になっている一人の少女を誘ってみる事にした。・・・・・・。数コールで繋がる。
「長門か?もしよかったら・・・」俺は思い付きを告げる。
少し間があって「・・・。いい・・・。何処に向かえば?」断られなくて良かった・・・。
俺は並木道の河原を指定すると自転車に望遠鏡を担ぎ込み目的地へ向かった。
河原に着くと既に長門が待っていた。
「悪い。待たせたか?」「・・・。構わない・・・。私もさっき着いたところ」
そして二人きりでの天体観測が始まった。尤も俺は星の名前なんて知らないし詳しくも無い。
適当に綺麗な星を見つけては長門に代わり見つめさせていた。
「・・・。とても綺麗・・・」何か心惹かれるものがあるのだろうか?
俺が見つけた星を夢中で見つめる長門。
夜の月と星のスポットライトに照らされた小柄な少女を見つめていると口が自然に動いた。
「星も綺麗だけど長門の方がもっと綺麗だぞ」・・・・・・。まて。俺は何と言った?
これじゃあまるでプロポーズじゃないか。
長門は少し驚いた感情を現していたが暫くすると恥ずかしそうに口を動かす。
「・・・。ありがとう。嬉しい・・・」俺はもう自分の気持ちに押さえが効かなくなった。
「・・・。前からずっと長門が好きだった。ずっとお前が気になっていた・・・」
正直な気持ちを口にする。二人きり。星空の下。そのシュチエーションが俺を素直にさせた。
長門は少し頬を染めた・・・。「・・・。私も貴方のことが・・・好きだった・・・貴方の言葉で素直になれた・・・」俺は答える代わりに小柄な少女を抱きしめた。
長門も嫌がらず腕の中に納まる・・・。確かに感じる温もり。星空の下俺たちは想いが繋がった・・・。
その時空に星屑が走った。恐らく二人とも願いは同じだろう・・・。
「いつまでも二人で居られますように・・・」俺たちはそう願っていた。
母親に言われ夜だというのに部屋の掃除をしている俺が居る。
押入れの奥などを弄くり回しているとなんでこんなもん取って置いてあるんだ?
という様なものが出て来る出て来る。掃除も時には大切だなと思っているとそれは見つかった。
望遠鏡。いつだったか理科の授業で使ったのだろうか?思わず取り出してみる。
殆ど使って無いせいか保存状態はいいようだ。これならまだ使えるな・・・。
そう思って星空を見上げてみる。・・・・・・。空には満天の星々が広がっていた。
天体観測でもしてみるか・・・。不思議とそんな気分になった。
こんなロマンティックな事一人でするのは勿体無いな・・・。
俺は少なからず気になっている一人の少女を誘ってみる事にした。・・・・・・。数コールで繋がる。
「長門か?もしよかったら・・・」俺は思い付きを告げる。
少し間があって「・・・。いい・・・。何処に向かえば?」断られなくて良かった・・・。
俺は並木道の河原を指定すると自転車に望遠鏡を担ぎ込み目的地へ向かった。
河原に着くと既に長門が待っていた。
「悪い。待たせたか?」「・・・。構わない・・・。私もさっき着いたところ」
そして二人きりでの天体観測が始まった。尤も俺は星の名前なんて知らないし詳しくも無い。
適当に綺麗な星を見つけては長門に代わり見つめさせていた。
「・・・。とても綺麗・・・」何か心惹かれるものがあるのだろうか?
俺が見つけた星を夢中で見つめる長門。
夜の月と星のスポットライトに照らされた小柄な少女を見つめていると口が自然に動いた。
「星も綺麗だけど長門の方がもっと綺麗だぞ」・・・・・・。まて。俺は何と言った?
これじゃあまるでプロポーズじゃないか。
長門は少し驚いた感情を現していたが暫くすると恥ずかしそうに口を動かす。
「・・・。ありがとう。嬉しい・・・」俺はもう自分の気持ちに押さえが効かなくなった。
「・・・。前からずっと長門が好きだった。ずっとお前が気になっていた・・・」
正直な気持ちを口にする。二人きり。星空の下。そのシュチエーションが俺を素直にさせた。
長門は少し頬を染めた・・・。「・・・。私も貴方のことが・・・好きだった・・・貴方の言葉で素直になれた・・・」俺は答える代わりに小柄な少女を抱きしめた。
長門も嫌がらず腕の中に納まる・・・。確かに感じる温もり。星空の下俺たちは想いが繋がった・・・。
その時空に星屑が走った。恐らく二人とも願いは同じだろう・・・。
「いつまでも二人で居られますように・・・」俺たちはそう願っていた。
長編6
春眠不覚暁
桜も満開となり季節はすっかり春の様相を醸し出していた。
一年の内で過ごしやすい部類に入る季節だろう。今日も日課のように部室へと向かう。
こんな日には草原で横になった方がよっぽど有意義であろうに・・・。
ノックをするが反応が無い。誰も居ないのか?
ドアを開けると窓辺にはいつもの様に読書に耽る少女・・・。長門が居た。
ただいつもと違うのは本を手にしたまま体が前後に揺れている事だ。
どうやら読書の途中で睡魔に襲われてしまったようだ。この陽気だ無理も無い。
授業の大半を眠って過ごしても寝足りないぐらいだ。
宇宙人に作られた有機生命体云々でも疲れる事があるんだろう。休息も必要さ。
俺はそう思うと静かにドアを閉めた。一人では特にすることも無い。
俺はふと興味に駈られ長門の近くに椅子を置いて座った。
春の陽光に照らされる純白の肌。桜にも負けない桃色の唇。淡い輝きを放つ髪の毛。
非常に魅力的だ。・・・。って何を考えているんだ。
不思議といつまでも見つめていたい風景。俺は暫く見つめ続ける事にした。
普段なら直に気付かれてしまいじっくりと見つめる事が出来ないからな・・・。
こういう時にでも目に焼き付けておくべきだ。・・・・・・。
いつの間にかまどろんでいた様だ・・・。俺はゆっくりと目を開けた。
そこには僅か数センチという所に長門の顔があった。うぉっ!思わず後ろに倒れそうになる。
「な、長門いつから起きてたんだ?」
「・・・。ついさっき。貴方が側にいるのに気付いてよく寝ているようだったから近くで見つめていた」
抑揚も無く淡々と告げる。
「長門悪いな。俺もお前が寝ているところを見つめていたんだ。嫌だったら謝るよ」
「・・・。嫌ではない・・・。寧ろ・・・」急に口ごもる。そして小さな声だが確かに分るように口を開いた。
「貴方にはもっと私を見て欲しい・・・」それだけ言うと長門は帰る準備を始めた。
俺はかなり動揺しつつも長門に続いた。部室を出る直前。長門に話しかける。
「あー。さっきのってつまり・・・」「答えは自分で考えて・・・」少し子悪魔的な雰囲気を漂わせていた・・・。部室を出るとそこには・・・。「二人で随分とお楽しみだったようね・・・」
ハルヒ・・・・!いつの間に・・・。朝比奈さんはどこかあたふたしている。・・・古泉が居ない。
ひょっとしたら閉鎖空間の方に行ったのかもしれない。
「キョン。怒らないから一部始終を話しなさい・・・」やれやれ・・・。
少しはこの幸せを長く楽しみたかったぜ・・・。
桜も満開となり季節はすっかり春の様相を醸し出していた。
一年の内で過ごしやすい部類に入る季節だろう。今日も日課のように部室へと向かう。
こんな日には草原で横になった方がよっぽど有意義であろうに・・・。
ノックをするが反応が無い。誰も居ないのか?
ドアを開けると窓辺にはいつもの様に読書に耽る少女・・・。長門が居た。
ただいつもと違うのは本を手にしたまま体が前後に揺れている事だ。
どうやら読書の途中で睡魔に襲われてしまったようだ。この陽気だ無理も無い。
授業の大半を眠って過ごしても寝足りないぐらいだ。
宇宙人に作られた有機生命体云々でも疲れる事があるんだろう。休息も必要さ。
俺はそう思うと静かにドアを閉めた。一人では特にすることも無い。
俺はふと興味に駈られ長門の近くに椅子を置いて座った。
春の陽光に照らされる純白の肌。桜にも負けない桃色の唇。淡い輝きを放つ髪の毛。
非常に魅力的だ。・・・。って何を考えているんだ。
不思議といつまでも見つめていたい風景。俺は暫く見つめ続ける事にした。
普段なら直に気付かれてしまいじっくりと見つめる事が出来ないからな・・・。
こういう時にでも目に焼き付けておくべきだ。・・・・・・。
いつの間にかまどろんでいた様だ・・・。俺はゆっくりと目を開けた。
そこには僅か数センチという所に長門の顔があった。うぉっ!思わず後ろに倒れそうになる。
「な、長門いつから起きてたんだ?」
「・・・。ついさっき。貴方が側にいるのに気付いてよく寝ているようだったから近くで見つめていた」
抑揚も無く淡々と告げる。
「長門悪いな。俺もお前が寝ているところを見つめていたんだ。嫌だったら謝るよ」
「・・・。嫌ではない・・・。寧ろ・・・」急に口ごもる。そして小さな声だが確かに分るように口を開いた。
「貴方にはもっと私を見て欲しい・・・」それだけ言うと長門は帰る準備を始めた。
俺はかなり動揺しつつも長門に続いた。部室を出る直前。長門に話しかける。
「あー。さっきのってつまり・・・」「答えは自分で考えて・・・」少し子悪魔的な雰囲気を漂わせていた・・・。部室を出るとそこには・・・。「二人で随分とお楽しみだったようね・・・」
ハルヒ・・・・!いつの間に・・・。朝比奈さんはどこかあたふたしている。・・・古泉が居ない。
ひょっとしたら閉鎖空間の方に行ったのかもしれない。
「キョン。怒らないから一部始終を話しなさい・・・」やれやれ・・・。
少しはこの幸せを長く楽しみたかったぜ・・・。
2007年4月16日月曜日
長編5
「H U M A N I S M」
長門よ、そんな愁いを含んだ瞳で見つめないでくれ・・・。
長門の気持ちは痛いほど理解している。ただその方法はあまり使うべきじゃないんだ・・・。
だとすれば俺に出来ることは一つなんだがね。何故こんな事になっているか遡ってみよう・・・。
今日もまたすっかりお馴染みとなった喫茶店。いつもと同じ面子。そう不思議探索の日である。
言うまでも無いがやはり奢りは俺だ。こればかりは本当に懸念事項だと思うのだが・・・。
爪楊枝によるグループ決め。ここも大事なところである。
ハルヒとペアになった日にはボロボロに引きずり回されるのは明白だ。
古泉とペアなんて楽しくもなんとも無い。出来ればその二人とのペアは避けたいところである。
・・・・・・。結果は俺と長門のペアになった。ある意味一番安全な相手だ。
特に大きな事件も起きずのんびり出来るはずである。
ハルヒはどこか不満げな表情をしていたが恐らく気のせいだろう。
勘定を済ませ店を出て二手に分かれる。「今日も図書館で本でも読むか?」
俺は隣に居る小柄な一目見ただけでは何処にでも居る・・・といえば語弊があるが寡黙な少女(谷口曰くAマイナー)に訊ねる。「いつも同じ所というのも新鮮味に欠ける。今日は他の所に行ってみたい」
思わぬ回答であった。無類の本好きな有機生命体云々が他に行きたいところなど俺には思い浮かばない。「じゃあ、長門は何処へ行ってみたい? 俺は長門に合わせるぞ」
長門ならハルヒと違い突拍子もない所を言ったりはしないだろう。「・・・。街外れに出来たらしい古本屋を一度覗いてみたかった」そんなものが出来ていたのか。
特に興味の無い俺が知るはずも無かったが。
図書館でも古本屋でもあまりすることは変らない気がするのは俺だけだろう。
長門が行きたいというなら大抵のところには付いて行ってやるさ。俺は長門の案内で街外れへと歩き出した・・・。
街外れ。少し街を外れるだけで随分と雰囲気が変るものだ。
その一角に新築のはずなんだが随分前からあったような面影の古本屋があった。
長門は初めて図書館に来た時のような足取りで本屋の奥へと消えていった。
俺はその辺の本棚を適当に流し見た。なるほど。
昔どこかで見たような本が綺麗な状態で並べられている。保存状態はいいようだ。
個人経営でこれだけの保存状態なら良い店といって良いだろう。
特にすることも無く適当に本を読んでは棚に戻しを繰り返しながら店を練り歩く。
そうしていると長門が一冊の本を抱えてこちらに来た。
「掘り出し物を見つけた。この本は前から探していたもの」おお。それは良かったじゃないか。
その割には何処か悲しげな顔をしている。
「ただ・・・。手持ちの資金では少し足りない。情報操作を行いたい。許可を」
・・・・・・・。
こうして冒頭のシーンに至るわけだ。長門の気持ちは分る。
探していたものが見つかってそれが欲しいという思い。俺だって何度も味わった事がある。
長門にだって良い経験になるだろう。だがお金が足りないから。
といってあの反則気味な能力を使うことを俺は良くは思わなかった。便利な能力が有るのはいい。
だがそれに頼りすぎてはいけない。何処かで聞いた覚えがする。
「長門。気持ちは分るがインチキは無しにしよう。何でも便利な能力で片付けてしまうのはお前の為にもならない」
・・・。悲しげな顔・・・。諦めないと駄目?そういった感情を表す悲しげな瞳。
慌ててフォローする。「いや、諦めろとは言ってない。いくらするんだ? 俺も少しなら払うから見せてくれ」長門から差し出された本。その値段を見て俺は驚愕した。
古本とは思えない値段がそこにあった。恐らくかなり貴重な書物なのだろう。
長門が探していたくらいだ。内容も伴っているに違いない。長門の手持ちと俺の手持ち合わせてもギリギリで足りない。かなり困った事になった。
思い切って値切ってみるか?例えそれで成功しても今月の俺の生活費は0になってしまう。
どうするべきか・・・。しばし悩んでいると奥から主人と思しき老人が現れた。
「おぉ~。お前さんら中々良い目をしてるのぉ。その本を手に取るとは若いのに感心な事じゃ」
俺は全く内容を知らないがよほどの本らしい事が分った。
「お嬢ちゃんその本が欲しいのかい? 見た所かなりの本を読んでいるようじゃが?」
・・・。無言で頷く長門。俺は思い切って理由を説明してみた。
いざとなったら生活費は前借でもすればいい。
「そうかその本が欲しいがお金が足りんのか・・・」老人はしばし思考に耽っていたが口を開いた。
「うむ。嬢ちゃんが本が好きなのは目を見れば分る。そんな娘に読んで貰えるならその本も本望じゃろう。特別に只で譲ろう」驚く俺と長門。赤字確定なのではないか?そんな事を考えていると・・・。
「ワシはな。お金が欲しくて本を売っているんじゃないんじゃ。本を読みたい人に本を読ませたいのじゃ。今回は事情もあるし何よりこの娘は本を大切にしている目をしている。なら儲けなぞどうでもいいわ」立派な考えを持っている心優しい人のようだ。
「ありがとうございます。本当に感謝しています」俺は心からの感謝を述べる。
「・・・。ありがとう。一生大事にする・・・」長門も頭を下げ感謝を表している。
「よいよい。その本を大事にしておくれよ」老人に何度もお礼をいいながら俺たちは店を後にした。
「いい人だったな。長門」帰り道に長門に話しかける。
「・・・。とてもいい人だった・・・。優しい人・・・」その瞳には人の心の暖かさを宿していた。
こういう経験を積んで少しずつ人間らしくなっていくのだろうな。
そんな事を思いながら俺たちは二人で帰っていた・・・。
長門よ、そんな愁いを含んだ瞳で見つめないでくれ・・・。
長門の気持ちは痛いほど理解している。ただその方法はあまり使うべきじゃないんだ・・・。
だとすれば俺に出来ることは一つなんだがね。何故こんな事になっているか遡ってみよう・・・。
今日もまたすっかりお馴染みとなった喫茶店。いつもと同じ面子。そう不思議探索の日である。
言うまでも無いがやはり奢りは俺だ。こればかりは本当に懸念事項だと思うのだが・・・。
爪楊枝によるグループ決め。ここも大事なところである。
ハルヒとペアになった日にはボロボロに引きずり回されるのは明白だ。
古泉とペアなんて楽しくもなんとも無い。出来ればその二人とのペアは避けたいところである。
・・・・・・。結果は俺と長門のペアになった。ある意味一番安全な相手だ。
特に大きな事件も起きずのんびり出来るはずである。
ハルヒはどこか不満げな表情をしていたが恐らく気のせいだろう。
勘定を済ませ店を出て二手に分かれる。「今日も図書館で本でも読むか?」
俺は隣に居る小柄な一目見ただけでは何処にでも居る・・・といえば語弊があるが寡黙な少女(谷口曰くAマイナー)に訊ねる。「いつも同じ所というのも新鮮味に欠ける。今日は他の所に行ってみたい」
思わぬ回答であった。無類の本好きな有機生命体云々が他に行きたいところなど俺には思い浮かばない。「じゃあ、長門は何処へ行ってみたい? 俺は長門に合わせるぞ」
長門ならハルヒと違い突拍子もない所を言ったりはしないだろう。「・・・。街外れに出来たらしい古本屋を一度覗いてみたかった」そんなものが出来ていたのか。
特に興味の無い俺が知るはずも無かったが。
図書館でも古本屋でもあまりすることは変らない気がするのは俺だけだろう。
長門が行きたいというなら大抵のところには付いて行ってやるさ。俺は長門の案内で街外れへと歩き出した・・・。
街外れ。少し街を外れるだけで随分と雰囲気が変るものだ。
その一角に新築のはずなんだが随分前からあったような面影の古本屋があった。
長門は初めて図書館に来た時のような足取りで本屋の奥へと消えていった。
俺はその辺の本棚を適当に流し見た。なるほど。
昔どこかで見たような本が綺麗な状態で並べられている。保存状態はいいようだ。
個人経営でこれだけの保存状態なら良い店といって良いだろう。
特にすることも無く適当に本を読んでは棚に戻しを繰り返しながら店を練り歩く。
そうしていると長門が一冊の本を抱えてこちらに来た。
「掘り出し物を見つけた。この本は前から探していたもの」おお。それは良かったじゃないか。
その割には何処か悲しげな顔をしている。
「ただ・・・。手持ちの資金では少し足りない。情報操作を行いたい。許可を」
・・・・・・・。
こうして冒頭のシーンに至るわけだ。長門の気持ちは分る。
探していたものが見つかってそれが欲しいという思い。俺だって何度も味わった事がある。
長門にだって良い経験になるだろう。だがお金が足りないから。
といってあの反則気味な能力を使うことを俺は良くは思わなかった。便利な能力が有るのはいい。
だがそれに頼りすぎてはいけない。何処かで聞いた覚えがする。
「長門。気持ちは分るがインチキは無しにしよう。何でも便利な能力で片付けてしまうのはお前の為にもならない」
・・・。悲しげな顔・・・。諦めないと駄目?そういった感情を表す悲しげな瞳。
慌ててフォローする。「いや、諦めろとは言ってない。いくらするんだ? 俺も少しなら払うから見せてくれ」長門から差し出された本。その値段を見て俺は驚愕した。
古本とは思えない値段がそこにあった。恐らくかなり貴重な書物なのだろう。
長門が探していたくらいだ。内容も伴っているに違いない。長門の手持ちと俺の手持ち合わせてもギリギリで足りない。かなり困った事になった。
思い切って値切ってみるか?例えそれで成功しても今月の俺の生活費は0になってしまう。
どうするべきか・・・。しばし悩んでいると奥から主人と思しき老人が現れた。
「おぉ~。お前さんら中々良い目をしてるのぉ。その本を手に取るとは若いのに感心な事じゃ」
俺は全く内容を知らないがよほどの本らしい事が分った。
「お嬢ちゃんその本が欲しいのかい? 見た所かなりの本を読んでいるようじゃが?」
・・・。無言で頷く長門。俺は思い切って理由を説明してみた。
いざとなったら生活費は前借でもすればいい。
「そうかその本が欲しいがお金が足りんのか・・・」老人はしばし思考に耽っていたが口を開いた。
「うむ。嬢ちゃんが本が好きなのは目を見れば分る。そんな娘に読んで貰えるならその本も本望じゃろう。特別に只で譲ろう」驚く俺と長門。赤字確定なのではないか?そんな事を考えていると・・・。
「ワシはな。お金が欲しくて本を売っているんじゃないんじゃ。本を読みたい人に本を読ませたいのじゃ。今回は事情もあるし何よりこの娘は本を大切にしている目をしている。なら儲けなぞどうでもいいわ」立派な考えを持っている心優しい人のようだ。
「ありがとうございます。本当に感謝しています」俺は心からの感謝を述べる。
「・・・。ありがとう。一生大事にする・・・」長門も頭を下げ感謝を表している。
「よいよい。その本を大事にしておくれよ」老人に何度もお礼をいいながら俺たちは店を後にした。
「いい人だったな。長門」帰り道に長門に話しかける。
「・・・。とてもいい人だった・・・。優しい人・・・」その瞳には人の心の暖かさを宿していた。
こういう経験を積んで少しずつ人間らしくなっていくのだろうな。
そんな事を思いながら俺たちは二人で帰っていた・・・。
長編4
「My gift for you」
そういや今日は俺の誕生日だったな。そんな事を思い出しながら学校へと向かっていた。
この年になると誕生日といっても特に感慨深い訳ではない。
精々家族に適当に祝われ、友人などからおめでとうと言われるぐらいだ。
プレゼントでも貰えれば万々歳ってところか。
尤も今日が俺の誕生日だと知ったら黙っていないであろう奴を一人知っている。
何も起きなければ良いが・・・。そう思いつつ日課のハイキングコースを歩いている俺であった。
ハルヒと特にこれと言った会話も無く昼休み。
どうやら知らないらしいなと胸を撫で下ろしながらランチタイムに取り掛かる。
国木田、谷口から適当におめでとうと言われたくらいで特筆すべき事は無い。
至って平和である。こんな時間が続けば良いんだがね。
帰りのHR。ハルヒが後ろから囁く。
「キョン! あんた今日の部室には一番最後に来なさい! じゃないと死刑だから!」
おい、待てそりゃどういうことだ?
「理由は私がそう言ったから! いいから言われたとおりにしなさい!」
逆らっても仕方ない。大人しく言われたとおりにするか・・・。
一番最後に来い。それだけ言われても良く分らない。
大体他の誰かが用事で遅れたらどうするんだ?なんて事を思いながら適当に時間を潰していた。
いつもなら直に部室に向かうので退屈で仕方なかった。
・・・・・・。小一時間ほど潰した。そろそろ良いだろう・・・。部室に向かうか。
部室前。恐らく全員揃っている事だろう。だが一応ノックしてみるか。
「キョン? 悪いけどもう少し待って。それまで開けたら死刑よ!」団長殿の言葉だ。
一体何なんだ?俺だけ除け者にして何かしているのか?様々な思いを巡らせていると・・・。
「オッケー! 入っていいわよ!」「じゃあ、入るぞー・・・」
パーン!パーン!入った瞬間耳に響く音。そして何かが絡みつく。ああ、クラッカーか・・・。
ってことは・・・。「誕生日おめでと! キョン!」「おめでとうございます。キョン君」
「いやはや、おめでとうございます」「・・・。おめでとう・・・」
四者四様(日本語はおかしいがね)の祝辞。やっと事態を理解できた。
要するにサプライズパーティーか。「お、おう。皆ありがとうな。正直全く予想していなかったぜ」
素直な気持ちだ。てっきり俺に対する罰ゲームの類でも考えてると思っていた。
「誕生日を祝われて嫌な人間は居ないからね。感謝しなさいよ!」
部室にはレールなどが張り巡らされすっかりパーティーモードになっていた。
俺に後れてくるように言ったのもその為だったのか。
「それでプレゼントなんだけどね、私は奮発してメインといえるケーキと飲み物をを用意したわ!感謝することね!」
部室の机を固めて作られた上にはそりゃでかいケーキがケースに入っていた。
感謝するぜハルヒ。ありがとうな。「わ、私からはこれですぅ。おめでとうです」
朝比奈さんから渡されたのは手作りとおぼしきクッキーが入った袋。
恐らく味も絶品なのだろう。「ありがとうございます。後で大事にいただきますよ」
「次は僕の番ですね。後からでいいです。これで一勝負しましょう。誕生日だからといって手加減はしませんよ」古泉からは新しいボードゲーム。
手加減も何も本気でやっても俺には敵わないんじゃないか?
「ありがとな。いつでも相手になってやるぜ」さて、俺は残る一人に目を向ける。
個人的に何をくれるのか一番気になる相手だ。恐らく予想も出来ないようなものをくれる事だろう。だが不思議と何かを持っている様には見えない。
プレゼントを忘れたのだろうか?いや俺の知る長門はそんな事はしないはず。
そう思っていると長門は俺に突然近づき・・・。抱きついてきた。ちょっと待て何が起こって・・・。
次の思考に入る前に頬に優しい感触・・・。それが離れた後耳元で「これが私からのプレゼント・・・」
長門にキスされた・・・?俺だって健康な男子だそんな事されたらあんな事やこんな事を考えてしまう。それ以上に場の空気が変った。朝比奈さんは驚愕の表情をしているし、
古泉の微笑みは何処か引きつっている。「有希? い、今のって・・・」ハルヒも驚いているようだ。
「私が考えた結果これが彼が一番私からプレゼントされたかったと判断した」おいおい。
それってつまり・・・。
「まぁいいわ! 取りあえずケーキでも食べちゃいましょう! クリームがとけちゃうわ」
団長殿の一声でパーティーは佳境へと向かうようだ。やれやれ・・・。
後で長門とはゆっくり話すべきだな。何をかって?取りあえず俺の素直な気持ち。
それとだな・・・。後は禁則事項ってやつだ。
そういや今日は俺の誕生日だったな。そんな事を思い出しながら学校へと向かっていた。
この年になると誕生日といっても特に感慨深い訳ではない。
精々家族に適当に祝われ、友人などからおめでとうと言われるぐらいだ。
プレゼントでも貰えれば万々歳ってところか。
尤も今日が俺の誕生日だと知ったら黙っていないであろう奴を一人知っている。
何も起きなければ良いが・・・。そう思いつつ日課のハイキングコースを歩いている俺であった。
ハルヒと特にこれと言った会話も無く昼休み。
どうやら知らないらしいなと胸を撫で下ろしながらランチタイムに取り掛かる。
国木田、谷口から適当におめでとうと言われたくらいで特筆すべき事は無い。
至って平和である。こんな時間が続けば良いんだがね。
帰りのHR。ハルヒが後ろから囁く。
「キョン! あんた今日の部室には一番最後に来なさい! じゃないと死刑だから!」
おい、待てそりゃどういうことだ?
「理由は私がそう言ったから! いいから言われたとおりにしなさい!」
逆らっても仕方ない。大人しく言われたとおりにするか・・・。
一番最後に来い。それだけ言われても良く分らない。
大体他の誰かが用事で遅れたらどうするんだ?なんて事を思いながら適当に時間を潰していた。
いつもなら直に部室に向かうので退屈で仕方なかった。
・・・・・・。小一時間ほど潰した。そろそろ良いだろう・・・。部室に向かうか。
部室前。恐らく全員揃っている事だろう。だが一応ノックしてみるか。
「キョン? 悪いけどもう少し待って。それまで開けたら死刑よ!」団長殿の言葉だ。
一体何なんだ?俺だけ除け者にして何かしているのか?様々な思いを巡らせていると・・・。
「オッケー! 入っていいわよ!」「じゃあ、入るぞー・・・」
パーン!パーン!入った瞬間耳に響く音。そして何かが絡みつく。ああ、クラッカーか・・・。
ってことは・・・。「誕生日おめでと! キョン!」「おめでとうございます。キョン君」
「いやはや、おめでとうございます」「・・・。おめでとう・・・」
四者四様(日本語はおかしいがね)の祝辞。やっと事態を理解できた。
要するにサプライズパーティーか。「お、おう。皆ありがとうな。正直全く予想していなかったぜ」
素直な気持ちだ。てっきり俺に対する罰ゲームの類でも考えてると思っていた。
「誕生日を祝われて嫌な人間は居ないからね。感謝しなさいよ!」
部室にはレールなどが張り巡らされすっかりパーティーモードになっていた。
俺に後れてくるように言ったのもその為だったのか。
「それでプレゼントなんだけどね、私は奮発してメインといえるケーキと飲み物をを用意したわ!感謝することね!」
部室の机を固めて作られた上にはそりゃでかいケーキがケースに入っていた。
感謝するぜハルヒ。ありがとうな。「わ、私からはこれですぅ。おめでとうです」
朝比奈さんから渡されたのは手作りとおぼしきクッキーが入った袋。
恐らく味も絶品なのだろう。「ありがとうございます。後で大事にいただきますよ」
「次は僕の番ですね。後からでいいです。これで一勝負しましょう。誕生日だからといって手加減はしませんよ」古泉からは新しいボードゲーム。
手加減も何も本気でやっても俺には敵わないんじゃないか?
「ありがとな。いつでも相手になってやるぜ」さて、俺は残る一人に目を向ける。
個人的に何をくれるのか一番気になる相手だ。恐らく予想も出来ないようなものをくれる事だろう。だが不思議と何かを持っている様には見えない。
プレゼントを忘れたのだろうか?いや俺の知る長門はそんな事はしないはず。
そう思っていると長門は俺に突然近づき・・・。抱きついてきた。ちょっと待て何が起こって・・・。
次の思考に入る前に頬に優しい感触・・・。それが離れた後耳元で「これが私からのプレゼント・・・」
長門にキスされた・・・?俺だって健康な男子だそんな事されたらあんな事やこんな事を考えてしまう。それ以上に場の空気が変った。朝比奈さんは驚愕の表情をしているし、
古泉の微笑みは何処か引きつっている。「有希? い、今のって・・・」ハルヒも驚いているようだ。
「私が考えた結果これが彼が一番私からプレゼントされたかったと判断した」おいおい。
それってつまり・・・。
「まぁいいわ! 取りあえずケーキでも食べちゃいましょう! クリームがとけちゃうわ」
団長殿の一声でパーティーは佳境へと向かうようだ。やれやれ・・・。
後で長門とはゆっくり話すべきだな。何をかって?取りあえず俺の素直な気持ち。
それとだな・・・。後は禁則事項ってやつだ。
長編3
「不思議探索にて」
恒例行事とも言える週末の不思議探索。いつもの様に彼は最後に来て奢らされた。
同情を感じる。組み合わせ決め。私と涼宮ハルヒ。彼、古泉一樹、朝比奈みくるの組み合わせ。
出来れば彼と図書館に行きたかった。・・・・・・。何を考えているのだろう。思考回路に小さなエラー。「それじゃあ皆!張り切って探すのよ!」その言葉を合図に私たちは探索へと出発した。
「何処を探そうかしらねぇ。有希は何かアイディアある?」「・・・何も・・・」
「そう。じゃあ適当に回ろうかしら」涼宮ハルヒは歩みを進める。私もそれに続く。
着いたのは洋服屋。「私思うんだけどさ。有希って可愛いんだからもっとお洒落するべきだと思うの!」そういって次々に服を持ってくる。言われるがままに試着していく。
「うーん。有希って何でも似合うのねこの際だから買っちゃいなさいよ それ着ているところ見せたらアイツも喜ぶと思うわ!」アイツ・・・。とは恐らく彼の事だろう。
彼も着飾った私を見たいのだろうか?私には分らない・・・。
「見ていて思うんだけどさ。有希ってアイツの事好きなんでしょ?」・・・。そうかもしれない。
彼のことを考える私はいつもとは違う。それは「好意」というものなのだろうか?
「特別な感情を持っていることは事実。でもそれが好意かどうかは分らない」正直に答える。
「ならもっとアピールすべきよ! じゃないとアイツ鈍いんだから気付いてくれないわ!」
「それに・・・」少し口ごもる。「ちゃんと勝負しないと不公平だからね!」
「有希も有希で頑張りなさい! 私はいつも通りやるけどね!どっちが振り向かれるか勝負よ!」
・・・理解。涼宮ハルヒは私と彼を巡るライバル関係だと言いたいのだ。
お洒落をして彼がどういう反応をするのかは興味がある。
今度は思い切って着て行ってみよう。彼が私と涼宮ハルヒどちらを選ぶかは分らない。
でも出来れば・・・。私を選んで欲しい。そう思えたいつもと少し違う探索日だった。
恒例行事とも言える週末の不思議探索。いつもの様に彼は最後に来て奢らされた。
同情を感じる。組み合わせ決め。私と涼宮ハルヒ。彼、古泉一樹、朝比奈みくるの組み合わせ。
出来れば彼と図書館に行きたかった。・・・・・・。何を考えているのだろう。思考回路に小さなエラー。「それじゃあ皆!張り切って探すのよ!」その言葉を合図に私たちは探索へと出発した。
「何処を探そうかしらねぇ。有希は何かアイディアある?」「・・・何も・・・」
「そう。じゃあ適当に回ろうかしら」涼宮ハルヒは歩みを進める。私もそれに続く。
着いたのは洋服屋。「私思うんだけどさ。有希って可愛いんだからもっとお洒落するべきだと思うの!」そういって次々に服を持ってくる。言われるがままに試着していく。
「うーん。有希って何でも似合うのねこの際だから買っちゃいなさいよ それ着ているところ見せたらアイツも喜ぶと思うわ!」アイツ・・・。とは恐らく彼の事だろう。
彼も着飾った私を見たいのだろうか?私には分らない・・・。
「見ていて思うんだけどさ。有希ってアイツの事好きなんでしょ?」・・・。そうかもしれない。
彼のことを考える私はいつもとは違う。それは「好意」というものなのだろうか?
「特別な感情を持っていることは事実。でもそれが好意かどうかは分らない」正直に答える。
「ならもっとアピールすべきよ! じゃないとアイツ鈍いんだから気付いてくれないわ!」
「それに・・・」少し口ごもる。「ちゃんと勝負しないと不公平だからね!」
「有希も有希で頑張りなさい! 私はいつも通りやるけどね!どっちが振り向かれるか勝負よ!」
・・・理解。涼宮ハルヒは私と彼を巡るライバル関係だと言いたいのだ。
お洒落をして彼がどういう反応をするのかは興味がある。
今度は思い切って着て行ってみよう。彼が私と涼宮ハルヒどちらを選ぶかは分らない。
でも出来れば・・・。私を選んで欲しい。そう思えたいつもと少し違う探索日だった。
長編2
「犬も食べないと言われる事?」
その日も最早日常茶飯事というべきか、文芸部室にあるSOS団の部屋へと向かっていた。
朝比奈さんの着替えに出くわさないようにノックをする。 反応が無い。
という事は誰も居ないかもしくは長門だけか。 俺はドアを開けた。
いつもの定位置でいつもの様に読書に耽っている対有機生命体用云々。
「よ。長門。」 いつもと違うのはここからだった。
いつもならば本から少し目を離し俺の顔を見てくれるはずだ。 だが今日は振り向こうともしない。
?聞こえなかったのか?もう一度声をかけてみるか。 「長門?」
・・・・・・・・・。やはり反応が無い。 黙々とハードカバーを読んでいる。
読書に夢中で声が耳に入ってないのかもしれない。
俺はそう納得すると自分の位置へとついた。 その日の活動はというと。
まぁいつもの事なんだが。 ハルヒが勝手に喋り、古泉はニヤけており、朝比奈さんのお茶を飲みつつ、長門は黙々としていた。
次の日も変らず部室へと足を運ぶ俺。 特に何をするわけでもないこの放課後。
サボッってしまってもいいのだが何分団長様が後から怖い。
よって避けられる危機は避けるべきである。 部室へ向かうしかないわけだ。
コンコン。 無反応。昨日と同じか・・・・・。
ドアを開けると昨日の映像をリプレイしてるかの如く同じ光景だ。
「今日も長門だけか。」 ・・・・・・・・・・・。 今日も反応が無い・・・・?
流石におかしいと感じた俺は長門に近づいてみる。 「長門?聞こえないの・・・」
全てを言い終わらない内に俺から離れていく長門。 何だ?何だ?何が起きている?
俺が長門から避けられている? 意味が分らないし、理由がない。
答えを聞いて見ようにもこうも露骨に避けられていては会話は難しいだろう。
俺はひょっとしたら思い当たる節がないか考えながらその日の部活をすごしていた。 団長殿の言葉は殆ど覚えてないが明日も恒例の巡回パトロールをするらしい。 やれやれ・・・・。
さて外は絶好の天気。そして今日は休日。
ならばもっと有意義な過ごし方が有るはずなのだがそんな事も許されず。
見つかるはずもない不思議とやらを散策するパトロールに行かなければならない。
何時ものように集合場所に行くとやはり何時ものように俺が最後で。
何時ものように奢らされる。この規定事項なんとかならないものかね?
そしてパトロールの組み合わせ決めだがここで不味い事になった。 俺 長門
ハルヒ 朝比奈さん 古泉 の組み合わせだ。
俺は長門に避けられていたことを思い出しかなり気分が沈んだ。 勘定を済ませ、別れる。
ああ今日ばかりはハルヒに振り回されるのが羨ましい・・・。
長門の方を振り返ると既に歩き出していた。 俺は慌てて後を追いかけることにした。
長門は何時かの公園にたどり着くと足を止めた。 俺は思い切って気になっていた事を切り出した。
「なぁ?どうしてこの前から俺のことを避けているんだ?俺が何かしたのか?」
・・・・・・・・・。無言。瞳からも読み取る事が出来ない。
「俺が悪いなら謝る。だから何時もどおり仲良くしてくれないか?」
すると俺にだけ分かるような仕草で否定をした。そして久しぶりにその口を開いた。
「悪いのは私。少し試してみたい事があった。だから貴方の事を避けていた。」
?それはつまりどういう事だ? 「仲の良い信頼関係に有る者同士でも時には喧嘩という行為をする。そしてその後に行われる 仲直りという行程は更に結びつきを深めると言う。」
なるほど分ってきた。 「それを貴方と確かめてみたかった。本当はもう少し長期間様子を見るはずだったが私も辛くなってきた。」
つまり今日で仲直りってことで良いんだな?長門? 俺にだけ分かる仕草で肯定する。
「この数日間はとても寂しかった。貴方は?」 そんなの決まってるだろ長門。
「俺だって寂しかったさ。喧嘩なんて二度とごめんだ。」 「そう。良かった。」
こうして一連の事態は幕を閉じた。 長門との関係も元通り。
いや長門の言葉を借りればより信頼が強まったという事だろう。
「仲直りした事だし、残りの時間は図書館でいいか?」 無言の肯定。
俺たちは仲良く図書館へと歩き出していた。
その日も最早日常茶飯事というべきか、文芸部室にあるSOS団の部屋へと向かっていた。
朝比奈さんの着替えに出くわさないようにノックをする。 反応が無い。
という事は誰も居ないかもしくは長門だけか。 俺はドアを開けた。
いつもの定位置でいつもの様に読書に耽っている対有機生命体用云々。
「よ。長門。」 いつもと違うのはここからだった。
いつもならば本から少し目を離し俺の顔を見てくれるはずだ。 だが今日は振り向こうともしない。
?聞こえなかったのか?もう一度声をかけてみるか。 「長門?」
・・・・・・・・・。やはり反応が無い。 黙々とハードカバーを読んでいる。
読書に夢中で声が耳に入ってないのかもしれない。
俺はそう納得すると自分の位置へとついた。 その日の活動はというと。
まぁいつもの事なんだが。 ハルヒが勝手に喋り、古泉はニヤけており、朝比奈さんのお茶を飲みつつ、長門は黙々としていた。
次の日も変らず部室へと足を運ぶ俺。 特に何をするわけでもないこの放課後。
サボッってしまってもいいのだが何分団長様が後から怖い。
よって避けられる危機は避けるべきである。 部室へ向かうしかないわけだ。
コンコン。 無反応。昨日と同じか・・・・・。
ドアを開けると昨日の映像をリプレイしてるかの如く同じ光景だ。
「今日も長門だけか。」 ・・・・・・・・・・・。 今日も反応が無い・・・・?
流石におかしいと感じた俺は長門に近づいてみる。 「長門?聞こえないの・・・」
全てを言い終わらない内に俺から離れていく長門。 何だ?何だ?何が起きている?
俺が長門から避けられている? 意味が分らないし、理由がない。
答えを聞いて見ようにもこうも露骨に避けられていては会話は難しいだろう。
俺はひょっとしたら思い当たる節がないか考えながらその日の部活をすごしていた。 団長殿の言葉は殆ど覚えてないが明日も恒例の巡回パトロールをするらしい。 やれやれ・・・・。
さて外は絶好の天気。そして今日は休日。
ならばもっと有意義な過ごし方が有るはずなのだがそんな事も許されず。
見つかるはずもない不思議とやらを散策するパトロールに行かなければならない。
何時ものように集合場所に行くとやはり何時ものように俺が最後で。
何時ものように奢らされる。この規定事項なんとかならないものかね?
そしてパトロールの組み合わせ決めだがここで不味い事になった。 俺 長門
ハルヒ 朝比奈さん 古泉 の組み合わせだ。
俺は長門に避けられていたことを思い出しかなり気分が沈んだ。 勘定を済ませ、別れる。
ああ今日ばかりはハルヒに振り回されるのが羨ましい・・・。
長門の方を振り返ると既に歩き出していた。 俺は慌てて後を追いかけることにした。
長門は何時かの公園にたどり着くと足を止めた。 俺は思い切って気になっていた事を切り出した。
「なぁ?どうしてこの前から俺のことを避けているんだ?俺が何かしたのか?」
・・・・・・・・・。無言。瞳からも読み取る事が出来ない。
「俺が悪いなら謝る。だから何時もどおり仲良くしてくれないか?」
すると俺にだけ分かるような仕草で否定をした。そして久しぶりにその口を開いた。
「悪いのは私。少し試してみたい事があった。だから貴方の事を避けていた。」
?それはつまりどういう事だ? 「仲の良い信頼関係に有る者同士でも時には喧嘩という行為をする。そしてその後に行われる 仲直りという行程は更に結びつきを深めると言う。」
なるほど分ってきた。 「それを貴方と確かめてみたかった。本当はもう少し長期間様子を見るはずだったが私も辛くなってきた。」
つまり今日で仲直りってことで良いんだな?長門? 俺にだけ分かる仕草で肯定する。
「この数日間はとても寂しかった。貴方は?」 そんなの決まってるだろ長門。
「俺だって寂しかったさ。喧嘩なんて二度とごめんだ。」 「そう。良かった。」
こうして一連の事態は幕を閉じた。 長門との関係も元通り。
いや長門の言葉を借りればより信頼が強まったという事だろう。
「仲直りした事だし、残りの時間は図書館でいいか?」 無言の肯定。
俺たちは仲良く図書館へと歩き出していた。
2007年4月15日日曜日
長編1
「背中越しのセンチメンタル」
俺は取りあえず急いでいた。
何でかって?長門から「緊急事態、なるべく早く家に来て」と言う内容のメールが来たからだ。
「何だか分らないが、すぐ行くから待っててくれ。」
そう返信して長門のマンションに向かっているわけだ。自転車を過去最高速度で飛ばしたどり着いた。インターホンを鳴らす。「入って」俺は7Fへと足を速める。
「長門ー。着いたぞー。」反応が無い。ノブを回してみる。鍵はかかって無かったようだ。
部屋の中に入ると長門が背中を丸めて蹲っていた。
「お、おい! どうしたんだ長門! どこか悪いのか?」思わず声をかける。
答えの代わりに聞こえてきたのは・・・・・・。「ひっく」・・・・・・?「ひっく」
これはひょっとして・・・・・?シャックリ?
「先ほどから、ひっく、呼吸系等がひっく、異常動作をおこしてひっく、いるよう。 何か対処ひっく、方法を教えて欲しいひっく。」俺は取りあえず驚いていた。
長門でもシャックリなんて出るんだなという目の前の事実。
滅多に見れる光景じゃないなと想いつつも対処方法を教える事にする。
「そうだな・・・・・。取りあえず水を一気に飲むとかだな」
「分った。」ひっくと喉を鳴らしながら台所へ消える。水を飲んでいるようだ。ひっく。
「駄目。止まらないようひっく。」「駄目だったか・・・。後はそうだなぁ・・・・」
思いっきり驚かせるというのも有るがどうやったら長門が驚くのかその方が疑問である。
思いついたのはちょっと恥ずかしい方法だ。「背中をさすると治るとかもあったな・・・・」
「ではひっく、 それをお願い」嫌じゃないのか?と聞こうとしたが長門に頼まれては断れない。
「じゃ、じゃあさするから後ろを向いてくれ」俺に背中を向ける長門。小さな背中が愛しい・・・・。
ってこんな事を考えてる場合じゃないな。さすり。さすり。さすり。・・・・・・・・ひっく。
ひっく。ひっく。どうやら頑固なシャックリのようだ・・・・。
どれ位の時間が過ぎただろうか。
俺は他に止める方法も思いつかずひたすら長門の背中をさすり続けた。
長門は長門でシャックリに苦しんでいるようだ。
このまま止まらなかったらどうなるんだろうななんて考えが過ぎり始めた頃。
「大丈夫。もう呼吸系等の異常は治まったよう」お 本当だ。止まったみたいだな。
「止まったのは貴方のお陰。感謝する。」お礼を言われ照れる。
「いや、お礼はいいさ。誰だってシャックリは辛い。でも必ず止まるものだ」
それに長門の背中をさすり続けるなんて貴重な体験だしな。
「もういい時間。夕飯を作るから食べていって欲しい」
長門はそういうと俺の答えも待たずして台所へと消えた。
今日はいろんな意味で貴重な体験だなと想いつつ俺は長門と食べる食事へと思いを馳せた。
俺は取りあえず急いでいた。
何でかって?長門から「緊急事態、なるべく早く家に来て」と言う内容のメールが来たからだ。
「何だか分らないが、すぐ行くから待っててくれ。」
そう返信して長門のマンションに向かっているわけだ。自転車を過去最高速度で飛ばしたどり着いた。インターホンを鳴らす。「入って」俺は7Fへと足を速める。
「長門ー。着いたぞー。」反応が無い。ノブを回してみる。鍵はかかって無かったようだ。
部屋の中に入ると長門が背中を丸めて蹲っていた。
「お、おい! どうしたんだ長門! どこか悪いのか?」思わず声をかける。
答えの代わりに聞こえてきたのは・・・・・・。「ひっく」・・・・・・?「ひっく」
これはひょっとして・・・・・?シャックリ?
「先ほどから、ひっく、呼吸系等がひっく、異常動作をおこしてひっく、いるよう。 何か対処ひっく、方法を教えて欲しいひっく。」俺は取りあえず驚いていた。
長門でもシャックリなんて出るんだなという目の前の事実。
滅多に見れる光景じゃないなと想いつつも対処方法を教える事にする。
「そうだな・・・・・。取りあえず水を一気に飲むとかだな」
「分った。」ひっくと喉を鳴らしながら台所へ消える。水を飲んでいるようだ。ひっく。
「駄目。止まらないようひっく。」「駄目だったか・・・。後はそうだなぁ・・・・」
思いっきり驚かせるというのも有るがどうやったら長門が驚くのかその方が疑問である。
思いついたのはちょっと恥ずかしい方法だ。「背中をさすると治るとかもあったな・・・・」
「ではひっく、 それをお願い」嫌じゃないのか?と聞こうとしたが長門に頼まれては断れない。
「じゃ、じゃあさするから後ろを向いてくれ」俺に背中を向ける長門。小さな背中が愛しい・・・・。
ってこんな事を考えてる場合じゃないな。さすり。さすり。さすり。・・・・・・・・ひっく。
ひっく。ひっく。どうやら頑固なシャックリのようだ・・・・。
どれ位の時間が過ぎただろうか。
俺は他に止める方法も思いつかずひたすら長門の背中をさすり続けた。
長門は長門でシャックリに苦しんでいるようだ。
このまま止まらなかったらどうなるんだろうななんて考えが過ぎり始めた頃。
「大丈夫。もう呼吸系等の異常は治まったよう」お 本当だ。止まったみたいだな。
「止まったのは貴方のお陰。感謝する。」お礼を言われ照れる。
「いや、お礼はいいさ。誰だってシャックリは辛い。でも必ず止まるものだ」
それに長門の背中をさすり続けるなんて貴重な体験だしな。
「もういい時間。夕飯を作るから食べていって欲しい」
長門はそういうと俺の答えも待たずして台所へと消えた。
今日はいろんな意味で貴重な体験だなと想いつつ俺は長門と食べる食事へと思いを馳せた。
2007年4月14日土曜日
短編(2)
短編 「消失、直前、その心」
私の中で生まれた小さなバグ。それは積み重なりエラーとなる。
願ってはいけない事。観察をするだけが役割なのに。
彼に抱いてしまった想い。彼の側ではエラーは収まる。
彼と一緒に居たい。彼と話をしたい。でも彼は涼宮ハルヒと・・・・・。
叶わない夢なのだろうか?彼は私にも優しい。だから私は・・・・・。
私は近いうち誤作動してしまう。彼らを巻き込んで・・・・。
糸口は用意する。彼はどちらを選ぶのだろうか?
答えは恐らく決まっている。彼は優しいのだから。
願うのは光差す手を・・・・・。
・・・・・・・・・。せめて夢の中だけでは「幸せ」を願おう。
つかの間の事でもそれが私に許された事。
私の中で生まれた小さなバグ。それは積み重なりエラーとなる。
願ってはいけない事。観察をするだけが役割なのに。
彼に抱いてしまった想い。彼の側ではエラーは収まる。
彼と一緒に居たい。彼と話をしたい。でも彼は涼宮ハルヒと・・・・・。
叶わない夢なのだろうか?彼は私にも優しい。だから私は・・・・・。
私は近いうち誤作動してしまう。彼らを巻き込んで・・・・。
糸口は用意する。彼はどちらを選ぶのだろうか?
答えは恐らく決まっている。彼は優しいのだから。
願うのは光差す手を・・・・・。
・・・・・・・・・。せめて夢の中だけでは「幸せ」を願おう。
つかの間の事でもそれが私に許された事。
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