2007年4月16日月曜日

長編2

「犬も食べないと言われる事?」
その日も最早日常茶飯事というべきか、文芸部室にあるSOS団の部屋へと向かっていた。
朝比奈さんの着替えに出くわさないようにノックをする。 反応が無い。
という事は誰も居ないかもしくは長門だけか。 俺はドアを開けた。
いつもの定位置でいつもの様に読書に耽っている対有機生命体用云々。
「よ。長門。」 いつもと違うのはここからだった。
いつもならば本から少し目を離し俺の顔を見てくれるはずだ。 だが今日は振り向こうともしない。
?聞こえなかったのか?もう一度声をかけてみるか。 「長門?」
・・・・・・・・・。やはり反応が無い。 黙々とハードカバーを読んでいる。
読書に夢中で声が耳に入ってないのかもしれない。
俺はそう納得すると自分の位置へとついた。 その日の活動はというと。
まぁいつもの事なんだが。 ハルヒが勝手に喋り、古泉はニヤけており、朝比奈さんのお茶を飲みつつ、長門は黙々としていた。
次の日も変らず部室へと足を運ぶ俺。 特に何をするわけでもないこの放課後。
サボッってしまってもいいのだが何分団長様が後から怖い。
よって避けられる危機は避けるべきである。 部室へ向かうしかないわけだ。
コンコン。 無反応。昨日と同じか・・・・・。
ドアを開けると昨日の映像をリプレイしてるかの如く同じ光景だ。
「今日も長門だけか。」 ・・・・・・・・・・・。 今日も反応が無い・・・・?
流石におかしいと感じた俺は長門に近づいてみる。 「長門?聞こえないの・・・」
全てを言い終わらない内に俺から離れていく長門。 何だ?何だ?何が起きている?
俺が長門から避けられている? 意味が分らないし、理由がない。
答えを聞いて見ようにもこうも露骨に避けられていては会話は難しいだろう。
俺はひょっとしたら思い当たる節がないか考えながらその日の部活をすごしていた。 団長殿の言葉は殆ど覚えてないが明日も恒例の巡回パトロールをするらしい。 やれやれ・・・・。
さて外は絶好の天気。そして今日は休日。
ならばもっと有意義な過ごし方が有るはずなのだがそんな事も許されず。
見つかるはずもない不思議とやらを散策するパトロールに行かなければならない。
何時ものように集合場所に行くとやはり何時ものように俺が最後で。
何時ものように奢らされる。この規定事項なんとかならないものかね?
そしてパトロールの組み合わせ決めだがここで不味い事になった。 俺 長門  
 ハルヒ 朝比奈さん 古泉 の組み合わせだ。
俺は長門に避けられていたことを思い出しかなり気分が沈んだ。 勘定を済ませ、別れる。
ああ今日ばかりはハルヒに振り回されるのが羨ましい・・・。
長門の方を振り返ると既に歩き出していた。 俺は慌てて後を追いかけることにした。
長門は何時かの公園にたどり着くと足を止めた。 俺は思い切って気になっていた事を切り出した。
「なぁ?どうしてこの前から俺のことを避けているんだ?俺が何かしたのか?」
・・・・・・・・・。無言。瞳からも読み取る事が出来ない。
「俺が悪いなら謝る。だから何時もどおり仲良くしてくれないか?」
すると俺にだけ分かるような仕草で否定をした。そして久しぶりにその口を開いた。
「悪いのは私。少し試してみたい事があった。だから貴方の事を避けていた。」
?それはつまりどういう事だ? 「仲の良い信頼関係に有る者同士でも時には喧嘩という行為をする。そしてその後に行われる  仲直りという行程は更に結びつきを深めると言う。」
なるほど分ってきた。 「それを貴方と確かめてみたかった。本当はもう少し長期間様子を見るはずだったが私も辛くなってきた。」
つまり今日で仲直りってことで良いんだな?長門? 俺にだけ分かる仕草で肯定する。
「この数日間はとても寂しかった。貴方は?」 そんなの決まってるだろ長門。
「俺だって寂しかったさ。喧嘩なんて二度とごめんだ。」 「そう。良かった。」
こうして一連の事態は幕を閉じた。 長門との関係も元通り。
いや長門の言葉を借りればより信頼が強まったという事だろう。
「仲直りした事だし、残りの時間は図書館でいいか?」 無言の肯定。
俺たちは仲良く図書館へと歩き出していた。

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