2007年4月22日日曜日

長編10

「彼女のわがまま」


「明日は皆でお花見ハイキングよ!」
頭の中に年中満開の桜が咲いているのではないか?
と疑いたくなる女。涼宮ハルヒは叫んだ。コイツが言い出したら最後必ず従わなければならない。
まぁ季節がら悪くも無いだろう・・・。それに朝比奈さんのお弁当を食べられるやもしれん。
それならば多少の苦労はしてやるさ・・・。こうして週末に山登り+お花見が実行に移された・・・。
駅前に集合時間の十五分前には着いたはずなのだがやはり俺が最下位であり、
最寄の駅までの切符代を支払う羽目になった。いい加減財布がきついんだがな・・・。
電車に揺られる事数駅。ここからは歩きだな。
・・・・・・。目的の山。登山口は二つあった。
「ここでくじ引きよ! 二つに分かれて昇りましょう! 行きと帰りは同じグループだけど反対の道から帰ることで山の風景を全て楽しむのよ!」
よく分からない理論だが反論しても聞く耳を持つ奴じゃない。
俺は心から願った。ハルヒとペアにだけはなりたくない。
古泉?言うまでも無いだろう?
結果。俺は長門とペアになった。
長門のほうを見ると・・・。「・・・・・・」いつもの三転リーダーだ。
山登りする時でも制服なんだな。ハルヒは何処か不満げな表情だったが俺たちは二手に分かれ山を登りだした・・・。



山の中。決して険しくは無い。登校時のハイキングコースで慣れたせいか思ったよりも楽だ。
長門は俺の少し後ろを歩いて着いてきている。
コイツも疲れては居ないようだ。景色はというと所々に咲いている桜が美しい。
頂上はもっときれいなんだろうな・・・。そんな事を考えていると・・・。
後ろで人の倒れる音。振り返ると長門が倒れていた。
「長門! 大丈夫か!」慌てて駆け寄る。
「・・・。迂闊。足を滑らせた・・・」
「足大丈夫か?歩けるのか?」
「・・・。足を捻ってしまった様・・・。貴方の力を借りたい。許可を」
・・・・・・。真っ直ぐに俺を見つめる漆黒の瞳・・・。
そんな目で見られたら断れないじゃないか・・・。
「具体的にはどうすればいいんだ? 背中は荷物があるぞ?」
長門は少し恥ずかしそうに言った。「・・・。俗に言うお姫様抱っこ・・・」
その発想は無かった。というかそんな事をしていいのか。
嫌では・・・ないんだろうな。俺は覚悟を決め長門を抱いた。
荷物の分の重みを含めてもそんなに重くは無い小柄な体・・・。
抱き心地はいい・・・。
・・・って何を考えているんだ!取りあえず長門を抱きしめ残りの山道を登った・・・。
想像はつくだろうが俺たちが頂上に着いた時にはハルヒ達は既に到着しており。
長門を抱いて登場した俺はハルヒに尋問された。
事情を説明したが何分長門が俺から降りると平気で歩いていたので弁解の余地なく殴られた。
長門さん足駄目だったんじゃないですか・・・?
その後は昼食タイムとなり絶景を眺めながら美味しい弁当に舌鼓を打った。
帰り際・・・。古泉がこう言った。「貴方の分の荷物をもって帰ってあげますよ。その方が長門さんも喜ぶでしょう」意味不明なことを言って俺から荷物を受け取ると不機嫌なままのハルヒ達と帰って行った。「長門。 歩けるんなら俺たちも帰ろ・・・」
長門は俺の目を見てこう言いやがった。
「帰りは・・・おんぶで・・・」
やれやれ・・・。古泉が言ったのはこういう事か・・・。
俺はわがままなお姫様に付き合うことにした。決して嫌じゃないしな。

0 件のコメント: