「天体観測」
母親に言われ夜だというのに部屋の掃除をしている俺が居る。
押入れの奥などを弄くり回しているとなんでこんなもん取って置いてあるんだ?
という様なものが出て来る出て来る。掃除も時には大切だなと思っているとそれは見つかった。
望遠鏡。いつだったか理科の授業で使ったのだろうか?思わず取り出してみる。
殆ど使って無いせいか保存状態はいいようだ。これならまだ使えるな・・・。
そう思って星空を見上げてみる。・・・・・・。空には満天の星々が広がっていた。
天体観測でもしてみるか・・・。不思議とそんな気分になった。
こんなロマンティックな事一人でするのは勿体無いな・・・。
俺は少なからず気になっている一人の少女を誘ってみる事にした。・・・・・・。数コールで繋がる。
「長門か?もしよかったら・・・」俺は思い付きを告げる。
少し間があって「・・・。いい・・・。何処に向かえば?」断られなくて良かった・・・。
俺は並木道の河原を指定すると自転車に望遠鏡を担ぎ込み目的地へ向かった。
河原に着くと既に長門が待っていた。
「悪い。待たせたか?」「・・・。構わない・・・。私もさっき着いたところ」
そして二人きりでの天体観測が始まった。尤も俺は星の名前なんて知らないし詳しくも無い。
適当に綺麗な星を見つけては長門に代わり見つめさせていた。
「・・・。とても綺麗・・・」何か心惹かれるものがあるのだろうか?
俺が見つけた星を夢中で見つめる長門。
夜の月と星のスポットライトに照らされた小柄な少女を見つめていると口が自然に動いた。
「星も綺麗だけど長門の方がもっと綺麗だぞ」・・・・・・。まて。俺は何と言った?
これじゃあまるでプロポーズじゃないか。
長門は少し驚いた感情を現していたが暫くすると恥ずかしそうに口を動かす。
「・・・。ありがとう。嬉しい・・・」俺はもう自分の気持ちに押さえが効かなくなった。
「・・・。前からずっと長門が好きだった。ずっとお前が気になっていた・・・」
正直な気持ちを口にする。二人きり。星空の下。そのシュチエーションが俺を素直にさせた。
長門は少し頬を染めた・・・。「・・・。私も貴方のことが・・・好きだった・・・貴方の言葉で素直になれた・・・」俺は答える代わりに小柄な少女を抱きしめた。
長門も嫌がらず腕の中に納まる・・・。確かに感じる温もり。星空の下俺たちは想いが繋がった・・・。
その時空に星屑が走った。恐らく二人とも願いは同じだろう・・・。
「いつまでも二人で居られますように・・・」俺たちはそう願っていた。
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