「ルービックキューブ」
あーでもない。こーでもない。俺は脳細胞をフル動員して考えていた。
何をかって?大したもんじゃない一時期流行った「ルービックキューブ」って奴だ。
昨日の夜引き出しの奥から転がり出てきて懐かしさの余り始めたんだが一向に完成しない。
今日も一番乗りで部室に来て弄ってる訳だ。
こういうのも頭のよさが関係するのかと軽く凹まされていると・・・。
背後に気配・・・。長門か。驚かせるなよ・・・。
長門は興味深そうに俺の手の中の立方体を見つめていた。俺は簡単にルールを教えてやった。「・・・。理解。極めて原始的だが理論も含まれている」
そう言って俺の手からキューブを奪うと・・・。
暫く考えた様子だったがやがて俺の手を動かす速度の三倍速ぐらいで回し始めた。
呆気に取られていると・・・。「・・・。完成・・・。少し手こずったが許容範囲」
涼しげに俺に差し出す。インチキとかしてませんよね・・・?
「・・・。そんなことをしなくても十分に出来る。貴方にもやり方を教える」
そう言って俺は手ほどきされながら解き方を教わった。長門の手って柔らかいんだな・・・。
理解するまでは結構かかったが長門は詳しく優しく教えてくれた。
教師とか向いてるんじゃないか?って思ったぐらいだ。
やっと自力で解けるようになった頃にはもう夕方だった。
「助かったぜ。ありがとうな長門」
「・・・別にいい・・・」どこか嬉しそうに見えたのは俺の気のせいだったのかな。
部室を二人で出ると・・・。鬼の顔をした団長が居た。
「随分とお楽しみだったようね・・・」天国の後に地獄あり。俺はそれを噛み締めた。
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