「静止した闇の中で」
長門が夜に行き成り「会いたい」って電話してきた。
断る理由なんて無い。しかし夜に会いたい何ていわれると・・・。
おっと。妄想が走ってしまった。いかん。いかん。
取りあえず長門のマンションへと向かう。もう慣れたもので直に708号室の前だ。
「長門、入るぞー」「・・・入って」お言葉に甘えるとする。
玄関先で俺を向かえたのはいつもと同じ制服姿の長門だ。
ある意味落ち着く。コイツが下手に着飾ったりされた日には俺の理性がどうにかなってしまう。
取りあえず部屋に上がった俺。「用件は何だ? 何か事件か?」
万が一という事もある。予め心の準備は必要である。
「・・・。用件というほどの事ではない。貴方とゆっくりと話してみたい」
・・・・・・。つい良い方向へ考えてしまう・・・。ゆっくり話したい・・・。まるで恋人同士じゃないか。
悪く無いかもな・・・。って何を考えてるんだ。長門がそんな事を考えてるはず無いじゃないか・・・。
話したい。そう言った割には話題が無いのか長門からは話しかけてこない。
仕方なく俺から当たり障りの無い話題を振る。と、その時。部屋に暗闇が訪れた。
「停電か・・・」急な事に驚く俺。だが本当に驚くのはこれからだった・・・。
まず突然手に触れる優しい感触・・・。長門の手だ。小さくてだが確かな温もりを感じる・・・。
俺の手をぎゅっと握ってくる。ひょっとして怖いのだろうか?
「長門?」次には俺の肩に寄りかかってくる・・・。肩に感じる重み・・・。そしてほのかないい香り・・・
。だんだん理性がおかしくなってくる・・・。
「長門? 怖いのか? だんだん俺に近づいてきているようだが・・・」
だんだん暗闇に慣れ薄っすらと見えてきた。
・・・・・・。目の前に目を閉じた長門の顔があった。
ひょっとしてこれは・・・。「キスして」ですか?
いや、まてこんな暗闇に乗じて勢いだけでそんな事をしては・・・。
それより何で長門はさっきから黙っているんだ?俺に何をして欲しいんだ・・・。
俺と長門は暫く見つめ合い・・・(長門は目を閉じているが)
どのくらいそうしていただろうか。暗い部屋で密着。
目の前で目を瞑り待ち続け一言も話さない長門。
俺の精神はもう限界に近かった・・・。
突然目に差し込む光・・・。思わず目を閉じてしまった。・・・・・。
明るさになれ目を開けると・・・。長門は元の位置に戻っていた。
・・・・・・。何処か怒っているように見えるのは気のせいだろうか?
時計を見るともういい時間だった。「悪い、長門。 そろそろ帰らないと・・・。今度またゆっくり話そう」「・・・。そう。気をつけて」
俺は長門に見送られマンションを後にした・・・。
結果。
作戦は失敗に終わった。二人きりの状況を作り出し意図的に停電を起こす。
その状況で徐々に近づき目の前に迫る。それでも彼は何もしなかった。
何も出来なかったのかは分らない。
結論。
彼は思ったより意気地なし・・・。
ちょっと残念。今度はもっと上手くやってみよう。
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