「My gift for you」
そういや今日は俺の誕生日だったな。そんな事を思い出しながら学校へと向かっていた。
この年になると誕生日といっても特に感慨深い訳ではない。
精々家族に適当に祝われ、友人などからおめでとうと言われるぐらいだ。
プレゼントでも貰えれば万々歳ってところか。
尤も今日が俺の誕生日だと知ったら黙っていないであろう奴を一人知っている。
何も起きなければ良いが・・・。そう思いつつ日課のハイキングコースを歩いている俺であった。
ハルヒと特にこれと言った会話も無く昼休み。
どうやら知らないらしいなと胸を撫で下ろしながらランチタイムに取り掛かる。
国木田、谷口から適当におめでとうと言われたくらいで特筆すべき事は無い。
至って平和である。こんな時間が続けば良いんだがね。
帰りのHR。ハルヒが後ろから囁く。
「キョン! あんた今日の部室には一番最後に来なさい! じゃないと死刑だから!」
おい、待てそりゃどういうことだ?
「理由は私がそう言ったから! いいから言われたとおりにしなさい!」
逆らっても仕方ない。大人しく言われたとおりにするか・・・。
一番最後に来い。それだけ言われても良く分らない。
大体他の誰かが用事で遅れたらどうするんだ?なんて事を思いながら適当に時間を潰していた。
いつもなら直に部室に向かうので退屈で仕方なかった。
・・・・・・。小一時間ほど潰した。そろそろ良いだろう・・・。部室に向かうか。
部室前。恐らく全員揃っている事だろう。だが一応ノックしてみるか。
「キョン? 悪いけどもう少し待って。それまで開けたら死刑よ!」団長殿の言葉だ。
一体何なんだ?俺だけ除け者にして何かしているのか?様々な思いを巡らせていると・・・。
「オッケー! 入っていいわよ!」「じゃあ、入るぞー・・・」
パーン!パーン!入った瞬間耳に響く音。そして何かが絡みつく。ああ、クラッカーか・・・。
ってことは・・・。「誕生日おめでと! キョン!」「おめでとうございます。キョン君」
「いやはや、おめでとうございます」「・・・。おめでとう・・・」
四者四様(日本語はおかしいがね)の祝辞。やっと事態を理解できた。
要するにサプライズパーティーか。「お、おう。皆ありがとうな。正直全く予想していなかったぜ」
素直な気持ちだ。てっきり俺に対する罰ゲームの類でも考えてると思っていた。
「誕生日を祝われて嫌な人間は居ないからね。感謝しなさいよ!」
部室にはレールなどが張り巡らされすっかりパーティーモードになっていた。
俺に後れてくるように言ったのもその為だったのか。
「それでプレゼントなんだけどね、私は奮発してメインといえるケーキと飲み物をを用意したわ!感謝することね!」
部室の机を固めて作られた上にはそりゃでかいケーキがケースに入っていた。
感謝するぜハルヒ。ありがとうな。「わ、私からはこれですぅ。おめでとうです」
朝比奈さんから渡されたのは手作りとおぼしきクッキーが入った袋。
恐らく味も絶品なのだろう。「ありがとうございます。後で大事にいただきますよ」
「次は僕の番ですね。後からでいいです。これで一勝負しましょう。誕生日だからといって手加減はしませんよ」古泉からは新しいボードゲーム。
手加減も何も本気でやっても俺には敵わないんじゃないか?
「ありがとな。いつでも相手になってやるぜ」さて、俺は残る一人に目を向ける。
個人的に何をくれるのか一番気になる相手だ。恐らく予想も出来ないようなものをくれる事だろう。だが不思議と何かを持っている様には見えない。
プレゼントを忘れたのだろうか?いや俺の知る長門はそんな事はしないはず。
そう思っていると長門は俺に突然近づき・・・。抱きついてきた。ちょっと待て何が起こって・・・。
次の思考に入る前に頬に優しい感触・・・。それが離れた後耳元で「これが私からのプレゼント・・・」
長門にキスされた・・・?俺だって健康な男子だそんな事されたらあんな事やこんな事を考えてしまう。それ以上に場の空気が変った。朝比奈さんは驚愕の表情をしているし、
古泉の微笑みは何処か引きつっている。「有希? い、今のって・・・」ハルヒも驚いているようだ。
「私が考えた結果これが彼が一番私からプレゼントされたかったと判断した」おいおい。
それってつまり・・・。
「まぁいいわ! 取りあえずケーキでも食べちゃいましょう! クリームがとけちゃうわ」
団長殿の一声でパーティーは佳境へと向かうようだ。やれやれ・・・。
後で長門とはゆっくり話すべきだな。何をかって?取りあえず俺の素直な気持ち。
それとだな・・・。後は禁則事項ってやつだ。
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