「不思議探索にて」
恒例行事とも言える週末の不思議探索。いつもの様に彼は最後に来て奢らされた。
同情を感じる。組み合わせ決め。私と涼宮ハルヒ。彼、古泉一樹、朝比奈みくるの組み合わせ。
出来れば彼と図書館に行きたかった。・・・・・・。何を考えているのだろう。思考回路に小さなエラー。「それじゃあ皆!張り切って探すのよ!」その言葉を合図に私たちは探索へと出発した。
「何処を探そうかしらねぇ。有希は何かアイディアある?」「・・・何も・・・」
「そう。じゃあ適当に回ろうかしら」涼宮ハルヒは歩みを進める。私もそれに続く。
着いたのは洋服屋。「私思うんだけどさ。有希って可愛いんだからもっとお洒落するべきだと思うの!」そういって次々に服を持ってくる。言われるがままに試着していく。
「うーん。有希って何でも似合うのねこの際だから買っちゃいなさいよ それ着ているところ見せたらアイツも喜ぶと思うわ!」アイツ・・・。とは恐らく彼の事だろう。
彼も着飾った私を見たいのだろうか?私には分らない・・・。
「見ていて思うんだけどさ。有希ってアイツの事好きなんでしょ?」・・・。そうかもしれない。
彼のことを考える私はいつもとは違う。それは「好意」というものなのだろうか?
「特別な感情を持っていることは事実。でもそれが好意かどうかは分らない」正直に答える。
「ならもっとアピールすべきよ! じゃないとアイツ鈍いんだから気付いてくれないわ!」
「それに・・・」少し口ごもる。「ちゃんと勝負しないと不公平だからね!」
「有希も有希で頑張りなさい! 私はいつも通りやるけどね!どっちが振り向かれるか勝負よ!」
・・・理解。涼宮ハルヒは私と彼を巡るライバル関係だと言いたいのだ。
お洒落をして彼がどういう反応をするのかは興味がある。
今度は思い切って着て行ってみよう。彼が私と涼宮ハルヒどちらを選ぶかは分らない。
でも出来れば・・・。私を選んで欲しい。そう思えたいつもと少し違う探索日だった。
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