ちょっとした油断から今俺は病に伏せっている。
何大した事じゃない。つい薄着のまま冷房をかけてそのまま寝てしまったのだ。
所謂夏風邪って奴だろう。夏風邪引くのは馬鹿だけだというが本当に馬鹿なことをしたもんだぜ・・・
そんな訳で折角の夏休みだというのにこうしてベッドで寝転んでいるわけだ。
幸いなのはいつもの不思議探索がしばらく中止になっている事だ。
もし行われているのならアイツの事だ「這ってでも出てきなさい!」とか言う事だろう。
と呑気に語っているが実際結構辛い。
熱は程ほどにあるし、鼻水も出る。早く何とかしたいものだね・・・とその時チャイムが鳴った。
今家には俺一人だ。俺は少しふらつく脚で玄関へと向かった。
そこには……見間違う事の無い「白衣の天使」の衣装を着た長門がいた。
「風邪をひいていると聞きお見舞いに来た。部屋に上がる許可を」淡々と告げる口調。
その格好は何なんだ?とか突っ込みたい所はたくさん有ったが衆目の目に晒すわけにはいかない。
俺は部屋へと案内する。
「あなたはゆっくり寝ていればいい。今栄養食を作ってくる」長門はそう告げると台所へと向かった。
一人になり考えてみるがはっきり言ってその格好は反則だぞ。長門。
ただでさえ白い肌を際立てるかのような白衣。看護帽も良く似合っている。
そして細く美しい脚線美が……って何を考えて居るんだ!俺!
折角看病しに着てくれたのにそんな目で見ちゃ失礼だろう……
程なくして長門は戻ってきた。どうやらおじやを作ってくれたようだ。
長門の手作り料理を食べれるなんて俺は幸せ者かもしれないな……
俺は匙を手に取ろうとした……すると長門は先に匙をとりおじやを掬い……
ふーふー。「あーん」……。ひょっとしてこれは……。
「食べて」
あの、途轍もなく恥ずかしいんですが……。
幸い誰も居ない事だ俺はこの幸せを噛み締める事にした。
長門の特製おじやはとても美味しかった。
何というか体中から体力が沸きあがってくる感じだ。
一体何を入れたんだ?と聞いたところ、「……それは禁則事項」と言われてしまった。
まぁとんでもない物は入ってないだろうから安心だ。
その後も濡れタオルで体を拭いてくれたりと様々な甘いシュチエーションがあったのだが割愛させていただく。
俺と長門との記憶の中だけに留めて置きたいのでね。
両親が帰ってくる前に長門は帰った。夜になるとすっかり熱も下がり健康体になった俺がいた。
本当にあのおじやには何が入っていたんだろうね?
それと今度あったらちゃんと言わなきゃな。「ありがとう、長門」ってな。